オール沖縄元共同代表の金秀会長、自民支持明言 「次のステージに行くべき」
- 2021/9/18
- 政治
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を掲げる「オール沖縄」勢力で中心的役割を担ってきた金秀グループの呉屋守將会長は17日、宮古毎日新聞の取材に応じ、次期衆院選では、沖縄1区から立候補する國場幸之助氏=自民=を支援すると明言した。オール沖縄勢力には大きな打撃となる。
呉屋会長は、2019年の県民投票で辺野古移設について県民の意思が明確に表明されたと強調した上で、「(今後は)辺野古基地問題を争点に戦う選挙はちょっと違う。同じことを何度も何度も繰り返すのはよくない。次のステージに行くべきだ」との認識を示した。
故翁長雄志前知事については「存命のころ、相当難儀していた。(左右の)両翼がバラバラにならないよう、場合によっては一部と喧嘩をしながらも政治をしていた。翁長さんが逝去されてから、(オール沖縄は)片肺飛行に陥りつつあると思った」とも語った。
また、沖縄の抱える問題は、辺野古問題だけではなく、県民所得の低さや子どもの貧困などもあることを踏まえ「これまでの沖縄経済振興策を総点検して、課題を改善しないといけない。新しい沖縄を実現させるには自公連立政権の下で何らかの芽を出すのが現実的だと判断した」と説明した。
離脱を考え始めた時期については「県民投票のあたりから頭にあった」と胸の内を吐露した上で、オール沖縄に対して「批判ばかりでは政権は築けない。1区~4区までの候補者選定も公開された議論はされていない。議論しない勢力に沖縄の将来を任せる訳にはいかない」と強調した。
沖縄1区現職で共産党の赤嶺政賢氏には、7月末に那覇市の金秀本社で面談し、離脱の意向を伝えたという。その後、「國場氏には直接電話して、次期衆院選で支援する旨を伝えた」と経緯を明らかにした。
衆院選では、グループの社員については「5000人の社員がいるが、思想信条の自由があるので私からやりなさいとは言えない」と述べて自主投票とする方針を示した。ただ、「私の言動を見て多くの社員がついてきてくれると信じている」とも語った。
玉城デニー知事に対しては、「知事選まであと1年ある。県民の声を吸い上げ、対立候補がいなくなるくらい強靭な地盤と、人脈、組織づくりをしてほしい」と期待を述べたが、選挙戦での支援については明言を避けた。
呉屋会長は、14年の県知事選挙で翁長前知事の選対本部長を務め、オール沖縄の共同代表として、辺野古移設反対などを掲げた「建白書」の実現に向けて経済界の立場から支えてきた。翁長氏の死去に伴う18年の知事選でも、後継候補者の玉城デニー氏を支援した。玉城氏当選後は、後援会会長に就任したが昨年9月末で辞任していた。
(記事・写真 宮古毎日新聞)