サヨナラで執念の勝利

　一方、2失点でとどめたビッグ開発は、その裏、無死1、2塁から代打渡嘉敷匠選手が放った犠打で相手の失策を誘い満塁とすると、続く宮良雄太選手が中適時打ですぐさま同点に。シンバの申告敬遠で無死満塁とし、打者は政所凌選手。「犠飛でいい、気楽に行こう」と放った打球は、センターに浅くフライが上がった。ギリギリの距離に見えたが、3塁走者の渡嘉敷匠選手は思い切ってタッチアップ、本塁に突っ込んでサヨナラ勝ちをもぎ取った。見事な執念の勝利だった。

　ビッグ開発の下地剛監督はうっすら涙を浮かべながら「タイ・ブレークで2得点は想定内。その後、榎本が2三振を獲ってくれたところでいけると思った。今年は3年に一度のチャンス、クラブチームの選手たちに、強い九州の企業チームとの試合を経験させてあげたいと思っていた。同じクラブチーム（シンバ）との対戦で負けられない、強い気持ちで臨んだ成果だと思う」と喜びを隠せなかった。
「こんな大変な中、具志川球場の職員、スタッフの皆さんが、僕らに配慮して気持ちよく球場を使わせてくれ、練習させてくれた。今日の勝利もいい環境があったから。心より感謝している」
　さらにそう話すと、ベンチにいた選手達に「外野の芝で、キャプテンを胴上げしれやって」と優しく声を掛けた。

最後まで諦めなくて良かった

　先発した屋良睦投手は「シンバの先発又吉投手は高校、大学の先輩。先輩に投げ勝てたことが嬉しい。ここまで6試合でみんなに疲労もあったけど、僕はコースを外さないように投げようと心がけた。2点先制されたけどその後は開き直って投げられた。最後に榎本が連続三振で抑えてくれたのでいける！思った」と自信をのぞかせた。

　サヨナラ犠飛を放った政所選手は「3塁走者の渡嘉敷さんは勝負強い。最後まで諦めなくて良かった」と興奮冷めやらぬ様子だった。