地元への目線なき観光に未来はない これからの沖縄観光に必要なこと②

 

 ―竹富島は人気の離島だと思うんですが、訪れる観光客の様子はどうですか?

白石:竹富島から石垣島行きの船に乗っていると、観光を終えたお客さんが「今のとこは何ていう島だったっけ?」と話しているのがよく耳に入るんです。もちろん全ての人がそうではないですが、何をしに来て、何を見て、何を感じてたんだろう、って思います。離島を続けて足早に周るツアーなどもあるので、どこに行ったのかも分からないままに、その瞬間その場だけの思い出になってしまっている。本当の意味での地域を知るということまでたどり着いていないんです。ここには訪れる人だけでなく、受け入れ態勢にも課題がある。

 県外の人からすると、竹富島をはじめとする島々にはもしかしたら一生に一度行けるかどうかという場所だと思うのですが。せっかくの貴重な体験が、一時的な感動で終わってしまっているのは残念だと思います。

小規模自治体がぶつかる壁

 ―離島の場合だと、島民にとっては船の移動が生活の一部でインフラ的な位置付けになりますが、観光客と島民の利用状況はどうなっていましたか?

白石:今はコロナで人は少なくなっていますが、平常時は観光客が連日行列作り、船も1隻では乗り切らないくらい多かったのです。石垣島へ通院する高齢者が乗りたい船に乗れなかったという話も聞きます。島民の人たちも、利用する際は長い行列に並んでいるのが現状です。

常井大輝さん(以下、常井):経済界と自治体のつながりもあったりするので、やはりどうしても県(本来はDMO)が動くべきという場面はあります。宿泊税の話になりますが、石垣市や本島、沖縄全体で観光による収入を確保できれば、それを離島や小規模のコミュニティに予算として一定額配分できるような流れも作り出すことができます。観光は団体戦なので、協力と切磋琢磨の二つの姿勢が大切です。

 金額が低い交通機関の料金に課税するというのはなかなか難しいので、やはり地域に最もお金が落ちる宿泊で徴収するのが現実的だと思います。ただ、100円とか200円を上乗せするだけではダメです。それで年間1千万人が来たとしても、確保できる額は10~20億円規模で全然足りず、これは観光を担う施設の改修費にすらなりません。だから、宿泊費に応じた割合で設定すべきなんす。そうすればDMOとしても県としても消費単価が上がると税収が増える。それを開発や環境維持に注力することで、プラスのサイクルが生まれます。

 宿泊税の導入の仕方で10年後の沖縄観光の発展は大きく変わってきます。今のままだとオーバーツーリズムで苦しみ、自然が破壊され、地域住民の負担が増す一方で、さらに次の10年に同じような課題が持ち越されてしまうことになるでしょう。それでも人は来ます。ただし単価は下がるか現状維持となり、苦しい状況が続くと思います。いまのままではタイやベトナム、韓国などの世界競合ビーチリゾートに差をつけられてしまうばかりです。

稲福政志さん(以下、稲福):きちんとしたシステムを構築して、フラットに宿泊税を徴収したとしても観光客として来てくれる人たちに、沖縄の魅力を伝えようと企業や事業者は努力するだろうし、それを受ける側もきちんと“分かる”人たちであれば、とても良いサイクルが生まれると思います。ちゃんとした所が、ちゃんとした利益を得て、ちゃんと生き残っていく。

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