地元への目線なき観光に未来はない これからの沖縄観光に必要なこと②

 

 長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大打撃を受け続けている沖縄の観光業。ただ、沖縄観光にはコロナ以前から既に課題が多々あった。離島観光業者の疲弊、小規模自治体の限界、観光客のマナー問題…。
 これからの沖縄観光を考える上で必要なことを、八重山圏域の地域づくりに携わっている水圏化科学コンサルタント企画・技術部の白石綾さん、ハイアットリージェンシー那覇沖縄セールス&マーケティング部の常井大輝さん、完全ボランティアで沖縄県内をガイドしている稲福政志さんに聞いた。

疲れ果てている観光業者

 ―離島での街づくり・地域づくりに関わった白石さんは、島の人たちとも密なやりとりをしていると思います。島の観光業についてどう感じましたか。

白石綾さん(以下、白石):もともと観光が専門というわけではないですが、大学時代の授業や研究をきっかけで西表島を訪れるようになり、実際に住んで観光業者の方々からお話をうかがう活動をしていました。現在の会社でも沖縄の地域づくり担当として、竹富島をはじめ八重山諸島の環境保全、観光管理、地域教育に関わるようになりました。

 地元の観光業者の人たちに話を聞くと、本当に疲れ果てているんです。島に訪れる人たちの対応を延々とこなしていくことに精一杯で、常に追われているというか。その一方で、観光業がメインという島も多いし、観光が衰退すると職がなくなってしまう人も多い。島が抱える観光の問題を目の当たりにすると、色々と葛藤を感じます。「観光地」以前にまずは島の暮らしあってこそなのに、それが置き去りにされてしまっていると思います。

 ―島民の人たちの間で、変化を起こさないといけないみたいな機運はあったりするんですか?

白石:島民の中でも、観光に従事している人たちの間でも差があります。「今すぐどうにかしなければ」という人たちもいれば、これまで続けてきたことに変化を生むことに抵抗がある人たちもいるし、業種によっても考え方は異なる。地元出身者か移住した人か、そして年代などでも意見は様々でなかなか一筋縄ではいかないのが現状だと思います。規模や地理的な面からみても、みんなで一斉にやらないと、一部だけに負担が過重になってしまう状況です。
 島への入域者数はどんどん増えている一方で、竹富町の町民所得はほぼ横ばいなんです。お金はほぼ石垣島か本土の業者に落ちるというのが背景にあります。「コロナで観光客がストップしている今こそ方向転換する時だ」という声も聞こえてきますね。

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