遠山光一郎の「沖縄VSアジア国際都市」4:生活衛生と異国習慣理解
- 2021/7/26
- 経済
シンガポールはガーデンシティと呼ばれるように緑が多く、比較的新しく発展した国であるため新しい建物が多く環境が綺麗に感じる。また緑が多いのにもかかわらずすごく整備されている。経済一辺倒でなく「ガーデンシティ」というブランドでインフラ整備する政府の姿勢は素晴らしく、他の東南アジア諸国と比較しても生活環境上で大きな優位性を持っている。
その一方で、多くの国、特にアジア各国からの移民や世界中からの長期滞在者が混在しており文化や習慣が多様だけあって、単一的な生活スタンダードを保つのは容易ではない。
熱帯ならでは 苦労の多い木や花の維持
シンガポールを訪れる沖縄の方々がよく「シンガポールの環境整備は素晴らしい。沖縄の国道58号の木や草の整備状態は悪く、県や各自治体に考えてもらいたい。今のままだと観光客をはじめ沖縄を訪れる方々に恥ずかしい」と言われる。シンガポールには台風が来ないため、道路沿いの木々は沖縄よりも大きく高くそびえ立ち、熱帯らしく周りに色とりどりの綺麗な花が咲き誇っている。これらの自然は「ガーデンシティ」の好イメージと共に常夏の気候において爽快さや涼しさを提供する。
しかし、東南アジアの大木は整備しないと落下などの大事故にもつながる。そのため、政府はコストをかけて整備を徹底して行なっている。それでも毎年、太い枝が落下して死傷者が出たり、車などにダメージを与えるなどを伝える記事を目にする。ガーデンシティの維持にもさまざまな苦労があるのだ。
また、道路や住宅地整備に限らず、シンガポールの観光目玉でもある国立公園の整備は多くの人手と予算がかかる。整備のマンパワーとしてのシンガポール人は極端に少なく、インドやバングラデシュからの労働者が担っている。このような労働者確保が比較的容易な状況にあることが、シンガポールの強みであり綺麗な町並みを保てる理由である。
美しい都市国家を魅せる政府のシナリオ
さらに、シンガポールを訪れる方々にいい印象も持ってもらうために戦略的に演出されたルートがある。訪問者のうちほとんどが通る、チャンギ国際空港からホテルや観光名所まで向かう都市部へのルート、さらに高速道路が重点的に整備されている。綺麗な空港をイミグレ(入国審査)のストレスもなくスムーズに通り、緑も多い綺麗なフリーウェイをスムーズに通過、マリーナベイサンズを中心とする都市部の圧倒的摩天楼を見せるという政府のシナリオができている。大抵の外国人はこの演出に惚れ惚れすることになる。
私自身も約27年前に同じ演出に魅せられてしまった一人である。シンガポールは様々な罰金で有名な「Fine City(罰金都市)」としてお土産店のTシャツのデザインにまでなっている。有名なチューインガム禁止、ポイ捨て禁止、公共交通機関での飲食禁止など政府主導の啓蒙運動で年々よくなっていることは体験している。これらの罰金を伴う厳しい制度があるからこそ、シンガポールの衛生面や社会秩序が保たれていると思う。
ゴミの分別意識は意外とまだまだ
シンガポールではエリア別にオフィス、商業、住居、工場など区分けがされており、観光客や出張者が通常目にしないような郊外の住宅地、特に古い団地地区や工場地帯の衛生状態は都市中心部と少し違う状況になる。