遠山光一郎の「沖縄VSアジア国際都市」4:生活衛生と異国習慣理解

 
シンガポールの団地

  私は団地に暮らしているが、1階共用エリア周辺のゴキブリやペットの犬のフンには悩まされている。政府はペットオーナーに対して罰則や啓蒙運動をしており、年々状況は改善されてはいるものまだまだな部分も多い。住宅エリア清掃もインドやバングラデシュからの労働者が担っているが、今はコロナ禍で入国が厳しく制限されているため外国人労働者不足が深刻になって、社会インフラや住宅エリア等で大きな問題となっている。

 「Fine City」としては意外かもしれないが、シンガポールでは日本のように家庭ゴミの分別が義務化されていない。一応、リサイクル専用箱が団地ブロックごとに設置されているが、そう頻繁には使用されていない。

あまり使われていないリサイクル専用箱

 ゴミは各世帯もしくは各フロアごとのゴミ専用シェルターを通して仕分けなしに全て1階のスペースへと捨てられる。シンガポールでは高層階の団地も多く、低くても通常10階建て以上になる。各階から投げ捨てられた生ゴミや一般的ゴミは全て1階から積み上がっていくことになる。1階部分のゴミシェルター近くは悪臭もするし、ネズミやゴキブリなどの問題も出る。

 シンガポールはこういう状態なので、私も含め家族はゴミ分別の経験がなく、日本への出張時や沖縄帰郷時にはとても気を遣うし分からないことも多い。これはシンガポールだけでなく他のアジアの国々の方々にとっても似ている状況であると思う。

様々な習慣や常識へリスペクトを

 シンガポールは現在、日本や欧米と比べてゴミ処理やリサイクルに対する考えはまだ遅れているかもしれないが、世界各地の大都市では、リサイクルや環境問題に対する取り込みは広がりを見せている。生活効率化、環境改善、リサイクルなど持続可能な発展目標SDGsの観点からも、今後はシンガポール含めアジアの各国際都市も力を入れていく分野だと思う。

 シンガポールの団地では民族ごと(中華、マレー、インド)の人口比率による入居割合が設定されている上、外国人入居者の他、フィリピン、インドネシア、ミャンマーからのメイドたちが一緒に暮らしているのである。いずれにせよ、様々な習慣や常識をリスペクトしながら暮らすのは容易ではない。

 多人種・民族が暮らす社会においてのルール作り、違った環境から来た者への優しい理解、柔軟な対応、お互いのリスペクトが求められる点では、多国籍移民で構成されるニューヨーク、ロンドン、パリなどの国際都市でも、タイプは違えど同じ状況にあると言えると思う。沖縄もイチェレバキョーデーの精神で海外からの兄弟に対し精力的に日本や沖縄の習慣を教え、相手の国の状況も理解する努力が必要なのであると思う。

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