沖縄初のプロ球団・琉球ブルーオーシャンズ トライアウトで見えてきたこと

 

勝ち負けよりも経験から得るもの


 監督に今の心境を聴いてみた。「2年目の今年は、県外に遠征に行き(21戦9勝11敗1分)独立リーグだけでなく、NPBのチームとも対戦した。良い球を見て、体感して、打てない悔しさ、打てた自信、勝ち負けよりその経験から得るものが大きかった。選手として成長するいいきっかけになった」という。そして「広島、巨人、西武、ロッテなどと対戦したことで、球団としてもNPBとチームとの関係を築く事が出来たのが大きな進捗だと思う。お互い球団のメリットを共有してチーム強化、編成に繋げていきたい。来年以降の次のステージに向かう準備が整ってきました」。

 兼務するGMとしての役目も遂行でき嬉しそうだった。発足当初の「NPBに参入、ドラフト会議で指名選手を」と目標を掲げていたことについては「結果、そうなるといい」という言葉にとどめた。

ノック


 
 清水監督は、ニュージーランド代表総括コーチなどを務めたこともある。ツテもなく英語も話せないのに……だ。なぜなら、野球人気の陰りを憂い、野球伝道師として、野球の普及と振興のためにまだ普及していないニュージーランドに渡ったのだ。チームの指導だけでなく、野球教室を開催し、観光大使も務め日本とニュージーランドの架け橋になった。

その経験から、「野球を通じて社会に役に立てる人間になる事が一番大事」と強調する。「野球人であるまえに社会人。若いチームだからこそ新しい風を吹かせられる」と期待を込めた。

清水監督が選手を確認、緊張している選手たち

 

地域貢献というもう一つの役割

 設立2年目となった琉球ブルーオシャンズにはもう一つ大切な役割がある。地域貢献だ。緊急事態宣言下の今、多くの人が集まる野球教室を開催することは禁じられている。しかし、7月11日に沖縄の宣言が明け次第、即、行動していきたいと言う。

 「シーズンオフによくある、『プロ野球選手に会えた〜、見た〜』という野球教室はしたくない。今日はバッティング、今日は守備って特化したしっかり学べる教室をしたい。せっかく時間を使うなら、きっちり何かを掴んで生かしてもらいたいから。子供にも大人にも学ぶ野球教室をやっていきたい」。そう笑顔で話していた。

 琉球ブルーオシャンズは、自分たちの為だけでなく、地域の為に一歩ずつ動き出していた。

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