県内初の“ヘディススタジアム”始動!九州王者ぎぼっくすが普及に奔走

 

 卓球台の上で跳ねるのはピンポン玉だけではない。柔らかい専用ボールをヘディングで打ち合うドイツ発祥の新スポーツ「ヘディス」。まさに「ヘディング卓球」のようなスポーツだ。沖縄県内で最初のヘディスプレイヤーでありピン芸人であるぎぼっくすさんが、沖縄県内のヘディス熱を上げようと、八重瀬町のYellCafeの協力の下、営業時間外で「ヘディスYellCafeスタジアム」として4月7日から運用を開始。沖縄で初めて「ヘディスができる施設」となった。この日開催された体験会には5人が参加し、人生初のヘディスを楽しんだ。ぎぼっくすさんは「みんなが楽しめたのが良かったです」と額の汗をぬぐう。

国内の競技人口は300人程「今なら誰でもトップクラスになれる」

 2006年にドイツで誕生したヘディス。ルールは単純明快で、ほとんど卓球と変わらない。しかし、卓球と違う点は、台の上に手を付いたり乗ったりできること。ノーバウンドで直接返すボレーも認められているため、台の上に飛び乗ってアクロバティックなヘディングを決めることもできる。台自体は卓球のものと一緒だが、ネットは専用のものを使う。専用ボールは直径15.9cm、重さ100gの専用ゴム製のものを使う。

 世界の競技人口は欧州を中心に約10万人で、国内での競技人口は300人程度(いずれも2022年7月時点)とされているが、アジアでは中国に次ぐ2番目で、世界では10番目。ぎぼっくすさんは「今から真剣に競技に打ち込めば誰でも国内トップクラスになれます」と希望を持って話す。

沖縄は全国有数の「ヘディス環境が整った県」

 ヘディスを行うには場所ごとに公式の用具リースやライセンス登録が必要で、日本国内でヘディスが行える場所は10カ所(4月21日時点)。県内では前述の八重瀬町YellCafeの他、沖縄市のLagoon Kozaでもプレーできるようになる予定だ。ぎぼっくすさんが働きかけ、各施設が賛同した結果、沖縄は全国でも有数の「ヘディス環境が整った県」となった。

 ぎぼっくすさんがヘディスを知ったのは2018年のこと。たまたま見かけたスポーツ新聞の記事がきっかけだった。サッカー経験者でヘディングが得意だったことから「これなら県内でトップを獲れる」と一念発起。沖縄での競技人口は1人だったが、2019年には九州王者となり、これまでにも県内外のメディアでも積極的にヘディスのPRを展開している。「選手として大会に出てはいたのですが、施設の協力があったことでヘディスの楽しさを『広める』という活動ができるようになりました」と感謝している。

初心者でも楽しめるヘディス

 ヘディングでボールを扱うのは一見難しそうだが、ボールが柔らかく、弱い力でも飛ばせるため、初心者でも多少練習すればラリーができるようになる。体験会では、ヘディングをしたことがないという女性でも、実際にヘディスで白熱の試合を楽しむことができていた。ヘディングをするのには頭だけではなく全身を使うので、エクササイズ効果もばっちりだ。

 総当たり戦で優勝した長山慧さん(35)はこの日がヘディス初挑戦。自らの勝因を「攻めすぎずに返していったこと」と堅実なプレイが奏功したようだ。

クラブ「琉球チブル」を始動

 ぎぼっくすさんはヘディスクラブ「琉球チブル」を始動させており、今後もおおよそ週1ペースでYellCafeでの体験会を実施する。詳しくはぎぼっくすさんのツイッター、もしくはインスタグラムまで。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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