海外コーチに学ぶ「Jr.NBAクリニック」 沖縄アリーナで“極意”伝授

 
ボールをもらう時の動きや体の向きなどを細かく指導するカルロス・バロッカ氏(中央奥)=4月23日、沖縄アリーナサブアリーナ

 世界最高峰のプロバスケットボールリーグである米国NBAのコーチ経験者らが、選手やコーチを指導する「Jr.NBAクリニック」が23日、沖縄アリーナで開かれた。招かれたのはポルトガル男子U20の監督などを歴任し、コーチ歴30年のカルロス・バロッカ氏ら。コーチ向けのクリニックでは、選手への戦術の指導方法ややる気を向上させるための接し方などを実戦を交えながら伝授した。

 クリニックはNBAが運営するグローバルな青少年育成プログラム。今回はBリーグとNBAが協力し、19~23日にかけて千葉ジェッツ、横浜ビー・コルセアーズ、レバンガ北海道、琉球ゴールデンキングスの4クラブのホーム会場で実施された。

戦術の伝え方、自信の植え付け方を指導

コーチとしての心構えを沖縄の指導者たちに伝えるバロッカ氏

 沖縄県内約15人の指導者を対象としたクリニックで、バロッカ氏は実際の指導に入る前にコーチとして意識すべき心構えを伝えた。

 「ユースのコーチとして選手たちがいつもハッピーになるためにはどうするかを考えないといけない」とした上で「同じ材料でも料理人が違えば味が違うように、皆さんもどういうコーチになりたいかを考え、チームをどう料理するかを考えてほしい」「私たちのゴールは選手を賢くすること。賢い選手は自分で解決策を見つけ出します。選手がロボットのようになるかどうかはコーチ次第です」と続けた。

バロッカ氏に指導の下、トランジションの練習に取り組む琉球ゴールデンキングスのユースチームの選手達

 キングスのユースチームの選手たちと取り組んだ練習のテーマは「トランジション」。「バスケットにアタックする」「ファウルをもらう」「キックアウトからスリーポイントを打つ」を前提条件に挙げ、混雑している状況下のインサイドでドリブルをなるべく突かないことや、ディフェンスでボールを奪った瞬間に“スプリンター”のように前線に走ることを意識した練習を次々とこなした。

 戦術面以外にも「日本の選手たちはあまり喋らないので、コーチももっと喋って自信を持たせてあげてほしい」などと語り、メンタル面での成長を促す努力も求めた。終始大きなジェスチャーも交えながら、情熱的な指導を行なった。

「パッションが重要だと感じた」

バロッカ氏の練習方法を食い入るように見つめる沖縄の指導者たち。手前右はキングスU18の与那嶺翼ヘッドコーチ

 指導法の“極意”を伝授されたキングスU18の与那嶺翼ヘッドコーチは「子ども達が世界に羽ばたいていく上でコーチがいろいろなコーチングを知ることが必要ですし、コーチにはとにかくパッションが重要だと感じました。技術面でも、ボールをもらう際の体の向きや、ボールをずっと見ながらカットすることなどディテールも伝えていたので、今後に生かしていきたいです」と前向きに語った。

 選手として参加したキングスU15キャプテンの亀谷琉斗は「初めはNBAのコーチが来るということで緊張したのですが、楽しんでできたし、ガードとして学ぶことが多くいい機会でした。声を出すことを求められましたが、普段の練習でもコミュニケーションが大事ということはコーチから言われているので、5月の大会に向けてそこを重視しながら頑張っていきたいです」と力を込めた。

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長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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