沖縄でも広がるモルックの輪 那覇商では部活設立の動きも

 

 ここ数年で徐々に認知度を上げつつある新スポーツ・モルック。お笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢さんが日本代表として世界大会に出場したことから、テレビ番組などでも取り上げられる機会も多くなった。

 沖縄でもその普及が進んでいる。4月8日に那覇市の松山公園で行われたモルックの体験会には、初心者を中心に7人が集まり、日曜日の午前を満喫していた。主催したのは、普段からモルックの普及活動を積極的に行う、モルックチーム「TEAM DONDON(ちーむどんどん)」の「川向こう心売り太郎」さん(本名:鈴木幹司さん)。参加した高校生はモルック部を立ち上げる動きを見せるなど、競技者や愛好者の底上げにもつながっている。

モルックってどんなルール?

 モルックは、競技と同名の木製棒「モルック」を、1から12までそれぞれ番号が振られた的となるピン「スキットル」に向かって投げ、その倒れた本数などによって得点を競うスポーツ。

「モルック」を投げて、「スキットル」を倒していく
12本のスキットル

 スキットルの倒れた本数がすなわちそのターンの得点になる。1本だけ倒れた場合は、そのスキットルに書かれた番号が得点になる。ゲーム開始時には、投げる距離から3~4m離れた場所にスキットルを固めて配置。倒れたスキットルは同じ場所でまた立て直し、次の人のターンとなる。

 50点に達するまで交互に投げ合うが、もしも50点を超えてしまった場合は25点まで減点されてしまう。0点のターンが3回続くとその時点で負けとなる。投げる人の足元には、投げる地点を示す「モルッカーリ」が固定の場所に置かれており、これを超えても0点となる。

足元に置かれた「モルッカーリ」

 モルックの投げ方にもさまざまなテクニックがある。狙った1本だけを倒すために、わざと縦に回転させて投げたり、当てた後に手元に戻すために逆回転スピンをかけたり。このように、シンプルなルールながら戦略を練るゲーム性もあり、なおかつ芝生でも土でも床でも、場所を選ばずできる気軽さが、魅力の一つだ。

モルックの魅力「誰でも楽しめて勝てる」

 SNSなどで体験会のことを知って集まったメンバー。大半が初対面ながら、ターンが変わる時にモルックを手渡し合うなど、試合をしていると自ずと会話する機会が多くあるため、すぐに仲良くなっていた。

 自称「モルックおじさん」でもある川向こうさんは、モルックの魅力を広めようと、これまで月に1回ペース、累計で30回ほど、沖縄県内で体験会を実施してきた。粟国島に住み始めて16年。学校の体育の授業でもモルックを採用してもらったことがある。

川向こう心売り太郎さん

 川向こうさんはモルックの魅力を「老若男女や身体的ハンデの有無を問わずに誰でも楽しめて勝てます。多くの人にやってほしいです」と話す。また、ターン制のスポーツであることから「例えば『1人対4人』という試合でも成立するので、幅広く楽しめます」と人数面でも制限が無い。

 そんな垣根のないスポーツだからこそ「今後は、性別や世代、ハンデも関係なく一つのチームを作って大会に出たいと思っています。モルック自体が新しいコミュニケーションツールになればと思っています」と見据えている。

モルック部設立の動きも

村上壱基さん(左)と上地勝榮さん

 体験会には高校生の姿もあった。那覇商業高校3年の上地勝榮さんと村上壱基さん。高校でモルック部の設立申請中だ。すでにチーム名は決まっている。「ロック・ざ・モルック」。

 村上さんが友人同士で「何かマイナースポーツをやりたい」とモルックに注目。試しにやってみたら楽しくなって創部に至った。村上さんは「みんな初心者なので、まずは経験を積んで上手くなってから、大会に出て行こうと思います」と話す。高校モルック部の大会はまだ存在しないため、一般向けの大会に参加することになるが「他の部活みたいに『引退』とか『最後の夏』がないので」(村上さん)、「年齢制限もないですし」(上地さん)と、楽しんでモルックに臨む。設立の暁には、川向こうさんからレーザー彫刻入りのオリジナルモルックセットが贈られる予定だ。

■関連リンク
TEAM DONDON
Instagram: @team__dondon
Twitter : @teamdondon5


長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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