下地島宇宙港を促進へ PDエアロスペース、増資で資金調達
- 2021/6/25
- 経済
宮古島市にある下地島空港を宇宙港として活用し、一般客を対象にした有人宇宙旅行の実施を目指すPDエアロスペース(愛知県、緒川修治社長)は22日、浦添市内で会見し、新たに増資で約3億9000万円の資金を調達したと発表した。累計調達額では11億3000万円となり、新型エンジンの開発や飛行試験、格納庫など宇宙港の建設を促進する。
緒川社長は「宇宙にはロマンがある。そういったことを活用したいという方々は多くいると思うので、技術開発や産業発展だけではなく、自然や教育という点においても影響力をもつコンテンツだと思っている」と強調した。
同社は、民間主導で宇宙飛行機(スペースプレーン)の開発を目指している。民需の宇宙利用の拡大を目指す「宇宙機開発事業」のほか、2020年9月に県が下地島空港と周辺用地の利活用事業提案で採択した「宇宙港事業」を手掛けており、25年5月をめどに有人宇宙旅行の実現を図るという。
今回の資金調達は、新たに株式を発行する第三者割当増資によるもの。豊田通商、よしもと統合ファンド、個人投資家4人が出資した。総事業費を現時点で24億円と試算する緒川社長は、「今後、第三者割当増資と助成金などを含めて残りを集める」と意欲を示した。
また、新型コロナウイルスの影響で開発が遅れているとしながらも、「早ければ7月にも飛行試験が実施できる予定」とも述べた。空気のある領域はジェット燃焼モード、空気の薄い領域ではロケット燃焼モードの切り替えが可能な新型エンジンの実証実験を、年内にも行いたいとの意向も示した。
同日には、「宇宙に行ける島、下地島」をキーコンセプトに掲げ、下地島宇宙港事業を基点とした産業振興に資する活動を行う下地島宇宙港事業推進コンソーシアムを設立したことも発表した。下地島宇宙港アンバサダーには、女優やモデルとして活躍する崎山一葉さんが就任した。
同コンソーシアムに参加したのは、ANAホールディングス、エイチ・アイ・エス、三菱地所、三井住友海上火災保険、シンバホールディングス、光宮古商事、琉球アスティーダ スポーツクラブ、吉本興業ホールディングス、沖縄銀行、リウボウ、沖縄電力、大米建設、琉球銀行、りゅうせき、かねひで総合研究所、沖縄セルラー電話の16社。今後、会員数300社を目指すという。
会見に参加した沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「地元経済界としても地域振興、ならびに新たな産業創出による地域経済活性化という点においても、今回の下地島宇宙港コンソーシアムには、大いに期待している」と述べた。
また、「先日、沖縄県から発表された新たな振興計画の素案でも、下地島空港を活用した航空宇宙関連産業の展開、新たな産業の創出と集積との一文が明記されている。これは宇宙港の実現に向けた大変大きな一歩だと確信している」とも強調した。
アンバサダーの崎山さんは「これまで夢だった宇宙旅行が、着実に近づいていることや宮古島の魅力を多くの方々に発進していきたい。自分も第一便に搭乗したい」と意気込みを語った。
(記事・写真 宮古毎日新聞)