慰霊の日に糸満生まれのラッパーKZ「ケンカを避けるHIPHOP文化」

 
イメージ画像(Pexelsより)

 米中の軍事対立や不安定な中台関係のすぐそばには、まさに沖縄がある。KZは“ケンカを避ける”というヒップホップの姿勢を体現するかのように「『先に手を出した方が悪いんだよ』ということです。戦争をしないという選択をし続ける、ということが大事だと思います」と話す。

 ビートに乗せて喋るように歌うラップは、リリック(歌詞)で何を伝えているかが重要視される音楽ジャンルだ。積極的に平和を希求したりよりよい社会を追い求めたりしていくという点についても、ヒップホップは大きな役割を担える。「沖縄が抑圧されていると感じるのなら、まだまだシーンからはどんどん新しい才能が生まれてくると思います。世界中のヒップホップのヤツらでつながっていけば、文化を通して平和な世界を作っていけるのではと信じています」

抱えたジレンマ

 KZがヒップホップと出会ったのは、自然な流れだった。バスケ部だったKZ少年は、当時テレビの6チャンネルで電波を拾っていた米軍基地内向け放送でNBAの試合を見ていた。その放送の合間に映し出されるアメリカのミュージックビデオで本場のダンスと出会うこととなる。「高校の同級生が、当時大流行だったMCハマーの『ハマーステップ』ができるぜ、と。今考えると基本的なステップだったんですが、その時の自分たちには新鮮すぎてカッコよくて。その友だちに教えてもらっていましたよ」

 それから那覇のクラブにも先輩を頼って遊びに行くようになり、DJやラップといった音楽にも夢中になっていった。

イメージ画像(写真ACより)

 沖縄市のクラブでは米軍人の友だちもたくさんできた。大学では英語を専攻していたのもあり、話もよく弾んだ。「酒飲んで暴れるヤツもいるなぁとは思っていましたけど(笑) そんな人もいれば良い人もいるし」。米軍の事件事故などが社会問題になる一方、個人として魅力ある人物と多く出会うことで、KZ自身はジレンマを抱えていた。「この、何か矛盾した気持ちをどうにか表現したいという思いから、僕のラップのテーマに“平和”も入っているのかな」

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