店舗名公表に休業要請…「仕方ない」状況はいつまで続く 4度目の緊急事態宣言

 

店舗公表は「見せしめの印象」

 重点措置が適用された時期から県の見回り隊が回ってきて、4、5回の行政依頼を受けたという。酒類の提供ができないとなると「食堂と変わらなくなる」ということで、今回は店を閉める決断をした。
 この店がこれまで休業も時短営業もしていなかったのは、経営面に加えて食材などを卸す出入り業者の救済という意味合いもあった。「出入り業者さんには補償がないじゃないですか。僕らが店を開けることによって、少しは業者の方も救われるのであれば、という思いもありました」

 公表された店舗のうちの6店舗が集中していた飲食店街「国際通りのれん街」についても言及し、「若い人たちが集まる、三密が起きやすい場所を分かりやすく挙げたんだなと思いますし、言い方は悪いですが見せしめという印象もあるかと思います」と率直に話す。

 その「のれん街」では、緊急事態宣言発出当日ということもあり、公表された店舗も含めてほとんどの店舗が休業状態になっていた。公表されたうちの1つの店舗の代表は、取材に対し「コメントはない」とし、足早に休業作業に戻っていった。

緊急事態宣言発出当日の国際通り。観光客がぽつりぽつりといる程度だった

 国際通りに面したのれん街入り口前で、道ゆく数少ない人たちに入店案内していた焼肉店の女性は「ここ最近はのれん街も国際通りもかなり人が減っていたんですけど、今日は輪をかけて少ないですね」とため息混じりだ。店は開けているが、酒の提供はしていないという。

「本当は今こそ飲みたい気分なんですけど、そんなお店もなくなっちゃいましたね」と力なく笑った。

 未曾有とも言えるコロナ禍で厳しい状況が続き、行政対応にもスピード感が見えない現実がある中で、店の経営と従業員の雇用確保などのためにやむを得ず開店し続けるという選択をした事情については酌むことができる部分も多々ある。しかし、どれだけ不平や不満があったとしても、ほとんどの飲食店が行政の要請に応じて時短や休業に踏み切っているのも事実だ。そんな中、独自判断で動くと、本来は業界全体で協力して事態を乗り越えてえていくべき同業者間に不要な分断が生まれてしまうことにならないだろうか。

 感染拡大抑制には業界・職種問わず多くの人たちの協力が不可欠と言っていいい。飲食店を経営する側ももちろんだが、店を利用する県民側も気を緩めずに感染防止に向き合う必要がある。

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