「次期振計策定に向け空港強化を訴え続ける」那覇商工会議所・石嶺会頭インタビュー
- 2021/5/7
- 経済
――そこで「那覇空港中長期構想」を取りまとめたのですね。
石嶺会頭 そうです。いま述べたとおり、管制上の問題はクリアしても、滑走路を横断する問題、スポットの不足はクリアできていません。これをクリアするには、いまのターミナルの規模や位置では発展性がないという話になり、そこで出てきたのが我々の「那覇空港中長期構想」です。
第一の目玉は、第一滑走路と第二の間を埋め立てる。そして、空港の機能をその真ん中にもってくる。そこにはターミナル機能、商業機能、都市機能を集約するのです。ターミナルには旅客の出入、ショッピング、ホテル、レストランを集約すると同時に、都市機能としてコンベンション施設を備え、交通アクセスもしっかりつなげる。その上、さらに航空関連産業を集積すると、機能がかなり強化されます。目指すのは「国際リゾート・ビジネス空港」です。それも「世界最高水準」にしようというのが、この中長期構想です。
交通アクセスは陸路としてはモノレール、自動車道、鉄軌道がここを拠点として広がるとしています。さらに、フェリーターミナルを設け、ここを離島とジェットフォイルで結びます。渡嘉敷島などの周辺離島へも30分以内で行けます。美ら海水族館など本島北部にも短時間で行ける。交通拠点がここにできるわけです。
なお、埋め立てや交通システムの整備などインフラ部分は国の対応でお願いしたいが、ターミナル機能、商業機能、空港関連産業については、民の力でという部分もあってもいいと考えています。
世界水準ではなく世界最高水準を
――次期振計の骨子案には、「世界水準の拠点空港等の整備」という項目もあるにはあります。
石嶺会頭 もともと那覇空港の機能拡張は、新たな沖縄振興計画を策定する中で議論するべき問題で、我々としても議論の活性化のために提言を重ねてきました。現在の振興計画で目標とされる「県民生活全体の底上げ」や「自立型経済の構築」は、持続的な経済成長の基盤をつくるなかで達成されるもので、その基盤の一つに空港があるのです。
ただ、我々が目指すのは「世界水準」ではなく、「世界最高水準」の空港です。アジアを見渡すと、シンガポールや韓国、中国と世界水準の空港は各地にあります。これらを上回る水準の空港を沖縄に整備して、東アジアの中心にあるという沖縄の地理的優位性をフルに活用するのです。
沖縄経済はコロナによって大きなダメージを受けており、すべての力を集中して目の前の危機を乗り越えなければなりません。飲食店はもちろん全業種にわたって救済措置は早急に取られるべきです。そうしないと、コロナ後に経済を担う人が誰もいなくなってしまいかねません。
そうした状況ですから、空港機能の拡大といった規模になると、いまはそれどころの話しじゃないと言われるかも知れません。
確かにコロナ対策にまだまだ多くの財源を投入しなければならないでしょう。国や県の財政にいっそうの負担がのしかかります。そういった意味で、空港の強化を我々も切り出しにくいところがあります。
しかし一方、そうした情勢下でも、ポスト・コロナをしっかりと見据えて、沖縄経済の活性化策として、空港機能の拡張というテーマは忘れられてはならないと思います。