「次期振計策定に向け空港強化を訴え続ける」那覇商工会議所・石嶺会頭インタビュー
- 2021/5/7
- 経済
昨年3月、那覇空港の第二滑走路が開業した。だが、その第二滑走路に着陸した航空機がターミナルに向かうには、第一滑走路を横断しなければならないなど機能的な問題も多い。
そうしたなか、経済界が2017年にまとめた「那覇空港中長期構想」では、第一滑走路と第二滑走路の間を埋め立て、そこにターミナル機能やホテル、商業施設、交通アクセスなどを集約、現在のターミナルビル周辺には新たに国内外から先端企業や臨空産業を誘致するという。「沖縄の次期振興計画の議論に一石を投じたい」とする那覇商工会議所の石嶺伝一郎会頭にその真意を聞いた。
――第二滑走路が開業して間もありませんが、なぜ新たなターミナルの構想なのでしょうか。
石嶺会頭 シンガポールの経済繁栄を実現した初代首相のリー・クアンユーは6年前に亡くなりましたが、こんな言葉を残しています。「島国の経済レベルはその国の空港・港湾のレベルを超えることはできない」。言い換えれば、空港や港湾のレベルを高めれば、島国といえども、経済レベルを一気に高めることができるということです。実際、シンガポールは空港・港湾の機能強化に力を入れて、現在の経済水準を築いています。
この言葉を知ったときは目から鱗でした。沖縄もまったく同じで島国であって、外からの出入り、人・モノの出入り口は空港と港しかない。そこがしっかりした機能を持たなければそれ以上の経済レベルをつくることはできないと、はたと思ったわけです。
那覇空港は、去年3月に第二滑走路が開業しました。第二滑走路の計画が立ち上がった当初は、航空機の発着が相当増える、極端に言えば倍くらいになるのではないかと喜んでいましたが、開業前に年間16万回だった発着枠が18万回くらいにしか増えないと聞いて驚きました。
その理由のひとつに、那覇空港の出発経路が嘉手納基地の進入経路とぶつかるといった航空管制上の制約の問題があります。これは国土交通省の検証で、航空機が上昇する際の角度の取り方で改善できることがわかり、発着枠は年間24万回まで増やすことが可能になりました。第二滑走路の開業前の2018年度が16万回の発着で2100万人の利用客でしたが、コロナ禍前の試算ではあるが、2030年度には24万回で3200万人の利用客になると見込んでいます。
ただ、それでも現在のままでは、第二滑走路に着陸した航空機がターミナルに行くのに第一滑走路を横切らないといけない。また、いまはコロナで発着便が減っていますが、コロナ前の水準に戻れば、駐機スポットの不足で、着陸しても地上で待機しなければならず、スポット待ちによる遅延が発生することになります。せっかくの二本の滑走路を十分に活かし切れていないということになります。