迷走し始めた次期振興計画 本土復帰50年で沖縄はどこへ向かうのか

 

「誰一人取り残されない」どころか・・・

 富川氏が県庁を去り、振興計画の策定は謝花副知事の手に移った。仲井真県政で企画部の統括監や部長を歴任した謝花氏は、これまでの計画の経緯や内情を熟知している。一方で、政府と対立する翁長県政や玉城県政で長く副知事を務めてきた謝花氏に、永田町や霞ヶ関との間のパイプが十分にあるのか疑問視する声が県庁内にも、そして経済界にもある。これでは国との調整が滞り、策定作業はなおのこと国に主導権を握られてしまうのではないか。4月14日には、自民党の沖縄振興調査会の小渕優子会長が、沖縄振興計画について「単純延長は難しい」と述べて、県に釘を刺している。

 県への批判を意識してのことだろう。冒頭に述べたとおり、県は連休明けに公表する素案で、骨子案とは内容を変えてくるものと見られる。大いに注目したい。

 先の日米首脳会談後の共同声明では、「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛りこまれ、半世紀ぶりの台湾情勢への言及となった。県内では自衛隊の増強、米軍基地にかかわる負担増の懸念がくすぶるが、改めて沖縄の重要性、存在感が日本全体に認識される機会ともなった。こうした世界情勢をも踏まえた環境の変化の中でどのような振興計画を練り上げていくのか。このままでは、誰一人どころか、沖縄県自体が取り残されることになりかねない。

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