新しい働き方「ハタケーション」で、沖縄の価値を創出

 

ハタケーションを通じて、宮古島を身近な存在にして欲しい

参加者と地元の人が一緒に沖縄料理を作る姿

 ハタケーション期間中は、地域の人達が歓迎した。皆で夜に星を見に行ったり、近隣に住む男の子が家に来て三線を弾いてくれたり、皆で沖縄料理を作ったり、普通の観光では決してできない体験ばかりだ。

 そして畑仕事や交流を満喫し、ハタケーションから帰宅した後日、オンラインで収穫祭を行った。こうして実体験+オンラインをフルに活用することで、体験者にとってより宮古島が身近になり、どこか懐かしささえ感じられる場所となった。

 金子さんは、ハタケーションを通して「体験者が宮古島に爪痕を残すことを重視した」と話す。

 「長期でしか実現できない体験をしてもらえるチャンスなので、また戻ってきたい場所にしたいという前提がありました。沖縄がその人にとって安心できる特別な場所になったり、観光では関わることのない人と交流することによって、新しいシナジーを生むことがあります。そういった人の関わりこそ、ワーケーションが沖縄にもたらす『可能性』だと僕は思っています」

観光地から「ただいま」と言える場所へ

 宮古島含め沖縄は人の温かさも大きな魅力だ。その土地で、地域の人と共に畑を耕し、交流し、沖縄料理を一緒につくることで、「観光」ではなくもっと踏み込んだ存在になれるのかもしれない。

 これまで夏に観光客が増えるのは当たり前だったが、新型コロナウイルスの影響で夏の繁忙期も分からない状況が続く中、季節を問わず沖縄に訪れる人が増える機会をつくることは、沖縄の観光産業にとっても新たな可能性となるだろう。

 「デジタルへの投資は、アナログ時間となって返ってきます。分かりやすい例が、このハタケーションではないかと思っています。デジタル投資をした個人や法人は、どこでも働ける時間を手に入れて、よりアナログな世界を楽しめる。五感で感じる沖縄を文字通り楽しむために、賢くデジタルと取り入れてほしいです」

 今後は、延期となったモニターツアーを再開し、商品のパッケージ化を予定している。金子さんはワーケーションとしての意義はもちろん、相乗効果として「お洒落に農業をやれる人を増やすことも目的にしたい」と話した。

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