実現なるか“向陽中学校” 島尻学区の進学の未来

 

 向陽高校への併設校設置の実現に向けての鍵は「県立高等学校編成整備計画」に盛り込まれるかどうかとされている。10年ごとに出される計画で、来年度からの新計画に向けて現在策定中だ。町議会の金城秀雄議長は「まずは調査費を計上できたら。この1年が大事です」と見据えている。

 県教育庁の担当者は取材に「設置に向けた具体的な動きはまだない」と話し「各校の実績や課題、地域の状態を踏まえて検討する必要があると考えています」としている。

八重瀬町議会の金城秀雄議長

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現行の県立高等学校編成整備計画(沖縄県教育庁HPより)

「中3で進路指導始める時代ではない」

 諸見里教育長は「全国的な傾向を見ても中高一貫教育でないと闘えないですよ。私立には当たり前のように中学もありますよね」と話す。実際に、難関大学への進学率の高い昭和薬科大学附属高校、沖縄尚学高校、興南高校などの私立高校にはいずれも一貫教育を行う中学校がある。

 さらに、より高いレベルの進学を目指す子どもたちが目標に向かえる環境づくりの大切さを話す。

 「スポーツの世界を見たら分かります。プロ野球選手になりたいのに、高校から野球を始める子はいません。それは勉強でも一緒で、目標を持つことで頑張れます。『勉強はいつでもできるだろう』と考える大人も一部いるかもしれませんが、そこで物足りない子は必ずいます。中3になって進路指導を始める時代ではありません」

 しかし、島尻学区の子どもたちにとって「中学から進学校に行って勉強に打ち込む」という場合は選択肢が限られてしまう。距離的には一番近いであろう進学校・開邦中学は、島尻学区から行くには交通が決して便利とは言えない。町内には学習塾も少ないという。諸見里教育長は、現場教員時代の経験から「那覇だと中3になるとほとんどの子が塾に行っています」と、学習環境の地域差を説明する。

八重瀬町役場庁舎
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