大謝名が生んだ琉球偉人・察度と黄金宮の謎

 

断崖絶壁で貿易していた?

 しかし実際に黄金宮を訪れてみると、え?ここが?という拍子抜けと、何よりこんなひっそりとした高台、崖上でどのように貿易をしていたのだろうという疑問を覚える。

 実際貿易を行っていたと思われる牧港までは、直線距離でも結構な距離がある。さらに目の前は断崖絶壁、その下を比屋良川が流れている。別名宇地泊川とも呼ばれる浦添と宜野湾の間を流れる川だ。当時の人々は、この川を渡るためにも地形的な理由から黄金宮の前を通る必要があり、察度はそこでも色々な情報収拾や物々交換をしていたとも言われている。
 この崖下を渡る? あまりに危険ではないか? というのが長らくの疑問だった。

しかしその謎がようやく解けた!

 察度の生きた時代は今から約700年以上も前だ。当時、実は黄金宮手前までが海、入江であったのだ。
 現在の牧港の大半、A&W牧港店やマチナトボール、牧港団地や大謝名小学校あたりまでも大きな入江だったということが分かっているという。現代でもその名残を見て取れる場所がいくつかある。

かつて海であった名残の数々

 まず、現場を見るとはっきり分かるが、大謝名小学校はすごく窪んだ土地に建てられている。道路上から見下ろすような造りなのだ。実はこの高低差こそ、昔はそこが海だったという名残の一つなのである。

大謝名小学校の敷地は近隣道路より数メートル下がった場所にある

 さらに、大謝名といえば小学校側の「メーヌカー」という湧き水が有名だが、そのすぐ近くには別の「ヤマトガー」という、日本の船がそこに船を横付けして水を補給していたと言われる湧き水跡もある。これも当時そこが海であった名残の一つ。

大謝名を始め宜野湾は昔から豊かな水どころであることを示すメーヌカー
次ページ:
1

2

3

関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…
宮古毎日新聞

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ