伝統芸能が直面する苦難-国立劇場おきなわ コロナ禍の模索と展望(下)

 

 これまで劇場では、舞台以外のイベントとして、稽古見学会や座談会、旅行会社と提携した史跡ツアーなども行なってきた。子ども向けにバックステージツアーやワークショップを実施した実績もある。動画配信もまだ始めたばかりでこれからまだ工夫の余地がある。劇場の展示室では年間通して展示も行なっている。風呂敷や扇子、マスクケースなど新しいグッズを開発し販売も始めたところでもある。

 「一口に沖縄の芸能といっても様々なジャンル、そして切り口がある。まだ来場したことがない方にも色々な形で芸能を直接肌で感じていただけるような場所になればと思っているので、ぜひ一度足を運んでほしい」と呼び掛けた。

劇場チケットカウンター。販売中のグッズも多数並んでいる

取材後記として

 取材を通して、公演は観客に楽しんでもらえさえすれば何でもいいというものではなく、“この公演をなぜやるか”という上演意義と一つ一つ向き合いながらの判断だった事がつぶさに窺えた。
 湖面を優雅に泳ぐ白鳥も、見えない水面下では懸命に足を掻いている。華やかな舞台の世界も同じく、関わる人たちの苦悩や四苦八苦する姿は見えないものだ。
 コロナが収束するまでは奮闘が続くと思われるが、これからも華やかな世界で観客を魅了する存在であってほしいと願う。

■国立劇場おきなわ公式ホームページ
https://www.nt-okinawa.or.jp/

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