「100万人都市圏の形成」目指す 新振興計画骨子案
- 2021/1/31
- 政治
県振興推進委員会は29日、新たな沖縄振興計画の骨子案を決定した。県土の方向性として、「地域の個性や特長を生かした力強い地域圏を形成するとともに、圏域間の連携を強化し県土の均衡ある発展を図る」とした上で、人口が集積する沖縄本島中南部では「アジアの主要都市に比肩する100万人都市圏の形成」を目指すという。
同骨子案の作成は、現行の沖縄振興計画である「沖縄21世紀ビジョン基本計画」が2022年3月までとなっていることを踏まえたもの。県は、これまで現行計画の成果について点検を行うなど、新振興計画の策定に向けた検討を進めてきた。骨子案の策定にあたっては、新型コロナウイルスの感染拡大で浮かび上がった課題も考慮したという。
今回の決定にあたり、記者会見した富川盛武副知事は、新型コロナなど外部リスクに強い県経済の構築について問われたのに対して「目先の強靭化ではなく、全体的に安全・安心の島にする」などと述べ、観光など沖縄が比較優位を持つソフトパワーを生かした産業を基軸としながら、リスク管理を強化していく方針を示した。
骨子案では、施策の基本的な方向性として、▽平和で生き生きと暮らせる「誰一人取り残すことのない優しい社会の実現」▽世界とつながり時代を切り拓く「強くしなやかな自立型経済」の構築▽人々を惹きつけ、ソフトパワーを具現化する「持続可能な海洋島しょ圏」の実現-を掲げた。
圏域別では、沖縄本島中南部について、「県人口の約8割を占め、都市機能や産業拠点が集積している」と指摘。その上で、「我が国の南の玄関口として、世界水準の拠点空港化及び拠点港湾機能の強化と航空路・航路ネットワークの拡充に取り組み、アジアのダイナミズムを取り込む臨空・臨港都市の形成を図る」とした。
跡地利用は従来と異なる手法を検討
米軍用地の跡地利用については、「中南部地域においては、市街地を分断する広大な基地の存在によりいびつな都市構造になっていることから、跡地を活用した主要な交通ネットワークとして広域的な幹線道路の整備及び鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入に取り組む」としている。
一方、「既に返還された跡地利用は、用途の大半が大規模商業施設や住宅となっており、これまでと同様の手法で跡地利用を行えば、跡地間相互の競合や緑地の保全・創出の不足などで、広大な土地と周辺都市の潜在力を最大限に引き出せないことも懸念される」として、従来の跡地利用とは異なる手法を取る方向性を示した。
その上で、産業の振興に向けては「アジアのダイナミズムを取り込む臨空・臨港型産業の集積地など新たな需要に対応する産業の創出・振興を図る」とした。普天間飛行場の跡地については「平和希求のシンボル及び広域防災拠点機能を備える国営大規模公園の整備を目指す」とされている。
県民所得の向上策としては、IT(情報技術)を積極的に活用して業務を改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による企業の生産性向上や、観光産業と多様な産業との連携強化などをあげた。
(記事・写真 宮古毎日新聞)