琉銀と沖銀が包括業務提携 3年間で20億円のコスト削減へ

 
業務提携を発表する会見で握手する琉球銀行の川上康頭取(左)と沖縄銀行の山城正保頭取

 琉球銀行と沖縄銀行は1月29日、包括業務提携「沖縄経済活性化パートナーシップ」について協定書を締結した。琉銀の川上康頭取と沖銀の山城正保頭取が那覇市内で共同記者会見を開き、報道陣からの質問に答えた。
 内容はATM共通化や現金配送などで協力する「バックオフィス業務の共同化によるコスト削減」と「県経済に資する協業」としており、両行がノウハウなど共有することで生産性向上とコスト削減を図り、付加価値の高いサービスの提供を目指す。一方、経営統合の可能性については両行とも否定した。

ブランド維持し協業模索

 経営効率化と県民へのサービス提供を最大の目的とし、現時点での大まかな目標として両行で3年間で20億円の削減を目指すという。「まだ具体的な話も進んでおらず数字の精緻化もしていないので20億円から前後するかもしれないが、目標以上の提携効果を目指していきたい」(沖銀・山城頭取)
 今後、多岐に渡るカテゴリーで分科会を持ち、ATMや現金配送の共同化などの具体的な施策を模索し、提携の効果最大効率を図っていく。

 業務提携は人口減少や少子高齢化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響で地域経済縮小への懸念、さらに異業種から金融分野への進出などもあり、金融競争が激化していくことを踏まえての対応措置。地域経済の持続的発展の支援やコロナ禍での地元客支援が共通して「地域金融機関の使命」であることは変わらないと強調しつつ、互いに経営の独立性と企業ブランドを維持した上で協業に取り組むという。

記者からの質問に答える沖銀の山城頭取

 沖銀の山城頭取は会見で「非常に厳しい状況が続いている中で、沖縄の金融という枠組みで協働できるところは協働していこうという点で意見の一致をみた。その中で得られた効果を県民に提供することが1番の狙いだ」と説明した。
 琉銀の川上頭取は「目の前の状況が厳しい中で、できることからやろうということで合意した。互いにとって最も効率的な事務プロセスを採用しつつ、経費の削減をしながら県民や事業者の皆様に還元することを実現したい」と述べた。

質問に答える琉銀の川上頭取

経営統合は「視野に入れていない」

 将来的な経営統合については、「今回の提携については、今我々ができることをこなし県経済に資することを目的としているので、統合という話ではない」(川上頭取)、「両行の経営成績をどうするというのは二の次で、経営統合とは全く視野に入っていない」(山城頭取)とし、両行ともに否定した。資本提携についても両行とも「全くない」とした。


真栄城 潤一

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1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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