那覇軍港返還は実現するのか 次期沖縄振興計画骨子案に軍港活用案の危うさ

 

 だが、県は骨子案の策定に向け、「那覇市や地主会と合意はできているのか」「那覇市の計画との整合性はどうなるのか」などについてはいまのところ不明で、「骨子案は新たな火種にもなりかねない」(県元幹部)という。

沖縄県庁

 「火種」と言えば、混乱を招いた港湾計画をめぐる意識調査も記憶に新しい。

 那覇港管理組合(トップの組合管理者は玉城知事)のホームページによれば、2003年を最後に改訂が行われていない港湾計画の見直しに向け、①「民港の形状案」を導き出し、②その後、移設協議会にこの「民港の形状案」を提案し、国は「那覇軍港の代替施設」と「民港の形状案」との整合を図り、「代替施設の配置案」を提示、③その後、移設協議会において、国が提示した「代替施設の配置案」が「民港の形状案」と整合が図られていることが確認された後、那覇港管理組合において港湾計画の手続きに移行するとされている。

 そこで、①の民港の形状案を導き出すために、「那覇港の現状や将来の展開について、県民からの幅広い意見を聴取する」として、組合が去年9月26日、突然意識調査を始めたのだ。

 ところが、ゾーニングの見直し案も盛りこまれたこの意識調査について、那覇市や浦添市が事前にまったく話しを聞いておらず、同28日に両市長が組合に対して抗議文を送る事態となる。これを受け、30日には意識調査が停止されるというドタバタだった。

 県関係者は、「移設協議会の前に意識調査をやることで、知事はなんとか移設の議論を先延ばししたいのだろうが、国や2市は県に不信感を募らせていくだけだ。いずれ政治的思惑を県民にも見透かされる」と突き放す。

 2月7日には浦添市長選挙の投開票もある。軍港問題で政治的思惑が交錯するが、そのあおりで移設協議会さえ開かれない状況が続けば、結局、割を食うのは県民だ。軍港返還による経済的な発展の芽が、政治の駆け引きの中で摘まれるようなことがあってはならない。

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