アルゼンチンに2メートル超巨大シーサー なぜここに?

 

 金城さんは、その思いに無償で制作を引き受けた。実は、金城さんが生まれた故郷であるうるま市浜比嘉は、大勢の人が移民としてアルゼンチンにわたり、その中には金城さんの叔父も含まれていた。そのため親族が暮らしているという縁もあった。

船便で沖縄からアルゼンチンへ

 シーサーは当初、アルゼンチンで制作する案もあったようだが、材料の調達や作業の理由で沖縄で制作することになった。金城さんは、自身の読谷のアトリエで妻や弟子など4人でさびないようにステンレスの芯にしっくいを重ね、風雨の日も戸外で約3カ月かけて完成させた。残波大獅子を作って以来、30年ぶりの大きな仕事だったようだ。

沖縄からアルゼンチンに届いたシーサー

 金城さんは、シーサーの表情や強度にも工夫をし、異国の地で苦労した人たちへの思いを作品に込めたいということで、固く結んだ口は、幸せを飲み込んだら絶対に吐き出さないという強い意志を表現。「ウチナーンチュの魂を忘れないでほしい」と願いが込められている。

 完成したシーサーは、飛行機に乗せるには大きすぎるため、船で海を超えて南米へ。読谷村の金城さんのアトリエから那覇港へ。そして、那覇港を出発し、横浜港を経由して、ブラジルのサントス港に到着し、アルゼンチンへと運ばれた。

 シーサーの横には「アルゼンチンうるま園の大獅子は外国に渡った最大のシーサー」、「運を呼び込み栄えていく守り神」などと記された説明文も一緒に設置されている。

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