アルゼンチンに2メートル超巨大シーサー なぜここに?
- 2020/11/16
- 社会
アルゼンチンの首都ブエノスアイレス郊外で、沖縄出身者や沖縄県系人によって親しまれているレクリエーション施設「うるま園」。首里城の守礼門をモチーフに建てられた正門の前に、高さ約2メートルの巨大な1対のシーサーがずっしりと構えて座っている。手がけたのは残波岬のシンボルとなっている残波大獅子を制作したことで有名な読谷村を拠点に活動する彫刻家・金城実さんだ。沖縄からアルゼンチンまで、シーサーはどのように海を超えて届いたのか、アルゼンチンで守り神となっているシーサーの誕生秘話とは。
アルゼンチンの日系人の7〜8割は沖縄県系
遡ること約110年前。1908年に沖縄からアルゼンチンへの移民がはじまり、多くのウチナーンチュが海を渡った。現在、日系人は約3万人、そのうち、約7〜8割が沖縄県系人で占めているほどアルゼンチンには沖縄出身者が多く住んでいる。
沖縄県系人のコミュニティーの中心となっているのは、ブエノスアイレス市にある在アルゼンチン沖縄県人連合会。5階建ての大きな会館を構え、約40ほどの団体が所属しており、沖縄文化を広める活動や芸術、社会、スポーツ活動を行っている。
日本一の巨大シーサーの制作者が無償で引き受け
シーサーが設置されたのは、アルゼンチン沖縄県人連合会が郊外に所有しているレクリエーション施設「うるま園」。正門の改築を機に、正門に巨大な1対のシーサーが2014年に設置された。制作を手がけた金城実さん(当時75歳)は、残波岬公園にある高さ8.75メートル、長さ7.8メートルの迫力あるシーサー、残波大獅子を制作したことで有名だ。その大きさは日本一で、観光客のフォトスポットにもなっている。
きっかけは、金城さんの活動を紹介するテレビ番組を見て、アルゼンチン沖縄県人連合会の関係者が一目惚れ。うるま園の正門に設置するために金城さんに依頼した。
「ウチナーンチュの心に宿る、シーサーへの思いとシーサー文化の精神の証しとして実現したい」と訴えた。