乳児院にフリマで寄付 タレント・東江万那美さん SNSで広がる輪

 

 スタートした当時は、まーみーさん自身が持っている子ども服をインスタグラムのライブ配信で販売しながら活動をしていましたが、現在では多くの方々から販売品の提供もあり、実店舗でのフリマを開催、『マママーミーリユースフリマ』は回数を重ねるごとに成長をし続けています!

 「売れたお洋服の郵送代なども節約し、できるだけ多くの金額を寄付に回すためなんです」とまーみーさんは話します。参加した人同士が実際に顔を合わせることで、楽しみながら活動の輪が広がる場にもなっています。

 「すぐに全部を変えて行く事は難しいかもしれない。けれど、こんな現実もあるっていう事をまずは知る事が大切。そのきっかけとして楽しくお買い物をしながら、このフリマの主旨を知ってもらいたい」と力強く、言葉を選びながら丁寧に話しました。

子どもたちを取り巻く「社会のズレ」を解決するために

 「マママーミーリユースフリマ」をはじめたきっかけをまーみーさんに聞いてみました。

 「リビングのソファでいつものように娘を寝かしつけながら、テレビでYouTubeの動画を見ていたら、偶然『特別養子縁組』についてのドキュメンタリーが流れてきたんです。その動画の中には、「妊娠したけど育てることができない人」と、「子どもが欲しいけど授からない人」の両者の間を取り持って特別養子縁組の橋渡しをし、生まれる子どもが幸せに暮らせるように活動している『NPO法人Babyぽけっと』っていう団体のドキュメンタリー番組でした」

 生みの親と育ての親の両方の気持ちを考え、涙が止まらなくなったというまーみーさん。すでに電気の消えたリビングで、腕の中には娘の温もりを感じていました。

 「(子を育てられない人たちと子を授かれない人たちの)社会のズレみたいなものを感じてしまって、私にとってはとても大きな衝撃を受けました。この現実を知ってしまった私は、いたたまれない気持ちになったと同時に、私にできる事をしようと思い、すぐに行動をする事を決めました」

 まーみーさんは時折、真っ直ぐな瞳に涙を浮かべながら話し続けました。

 何かできることをと動き始める内に、乳児園「社会福祉法人袋中園 吉水寮」(糸満市)と出会いました。そこで教えてもらったことは「養育里親」の説明会があるということでした。まさにあの日テレビで見て感じた「社会のズレ」を埋め合わせられる活動でした。

 「夫に勇気を振り絞って、里親になりたいという私の思いや、やりたい事を全て話しました。夫は『子どもは幸せになる権利があるから、自分たちで育てられるなら育てたいね』と言ってくれました。この言葉を聞いた時、私はこの人と結婚して良かったと心から思ったのを今でも覚えています」

里親になるための高いハードル

 養育里親の募集について、沖縄県内では「社会福祉法人袋中園 里親支援よしみず」が、県の委託事業で「こどものおうちプロジェクトOKINAWA」を展開しています。同法人によると、実の親から離れて生活せざるを得ない県内の子どもは約500人います。養育里親になると、例えば1人目については養育費が月額8万6000円支給されます。

 まーみーさんは養育里親の説明会の会場へ行き、里親登録しようとしました。

 「里親になるには様々なハードルがある事を知ったんです。部屋の間取りだったり、年収だったり、シングルマザーは里親になれなかったり…。他にももっと細かいルールがありました」

 その時に初めて「里親になりたくてもなれない人がたくさんいる」という現状を知る事になったまーみーさん。「養育里親になれないとしても、私にできる事はなんだろう、と考えました」

 そして、県内には1カ所しかない乳児院の『吉水寮』に寄付などの支援をする事を決めました。それが『マママーミーリユースフリマ』が生まれたきっかけでした。

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