なぜ沖縄は貧しいのか(1) 子どもの貧困概況 〜経年変化と保護者

 

困窮層ほど子育ての負担感強い

 困窮層の中での保護者の就労状況では、母親が無職もしくはパート・アルバイト、父親は自営業の割合が高い傾向にある。また、非困窮層に比べると労働日数が多いが、1日あたりの労働時間が短いという特徴もあることから、県は困窮層が労働日数を増やすことで収入の確保を図っていると分析している。
 だがこうした労働形態では十分な休暇をとることが困難で、保護者の健康状態への影響が懸念されるとし、困窮層が非困窮層に比べて健康状態が「良い」と答えた割合に10ポイント近い差がみられたことを指摘している(困窮層:48.5%、非困窮層:58.2%)。

子育てについての気持ち(平成30年度沖縄県小中学生調査)

 子育てへの気持ちについての項目では、「自分1人で育てているという圧迫感を感じる」という割合で困窮層が33.4%、非困窮層は20.1%と13.3ポイントの差が開いており、困窮層がより精神的な負担を強く感じていることが示されている。また、子どもとの関係では、「信頼している」「よく会話をする」「十分時間を過ごす」との回答は困窮層・非困窮層ともにほとんど8割を超えているが、「小さいころ絵本の読み聞かせをした」「一緒に図書館に行く」の2項目で9ポイントの差が出ている。

 子どもへの影響の面では、困窮層において絵本の読み聞かせや図書館を利用するといった文化的な行動の頻度が非困窮層よりも低く、子育てに対する負担感をより強く感じている傾向がみられる。日常的な生活の中で余裕がなく、子育てに費やせる時間が短くなることに伴って精神的な負担も高くなっていると県は推測している。

社会との「つながり」が希薄

 地域や友人とのつながりでは、「自分を支え、手伝ってくれる人」が「いる」と答えた割合で困窮層は非困窮層に比べて低い傾向にあった。経済的な面でも困難な状況にあるにもかかわらず、人とのつながりが希薄になっており、社会的なサポートをうける機会が少ない状況にあることが示されている。

 各市町村の支援員から支援を受けた経験の有無については、「よく利用している」「利用している」割合は全体で1.8%となっており、極端に少ない。さらに児童センターや放課後児童クラブ、無料塾などの各種施設の利用率についても、2~3割でとどまっており、県は課題として「制度の認知度・利用率をいかにあげていくかが重要である」との認識を示している。

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