コロナ禍のなか本格始動 モノレール3両化の成否は…
- 2020/10/26
- 経済
一方、3両化にともなって、車両基地も新たにつくられる。那覇空港近くの国道506号小禄道路では赤嶺トンネルが整備中だが、新しい基地はこのトンネルの上に建設される。総面積は1万4000平方メートルで、留置線のほか重要部検査を行う工場などが配置されることになる。10月15日には、基地の設計会社も決まった。駅のホームドアを4つから6つに増やすための設計も、年内に発注される。
3両化は政府主導
首里-てだこ浦西の延伸に続いて、3両化の検討が本格的に始まったのは、18年10月に「沖縄都市モノレール中長期輸送力増強計画検討会議」が設置されてからだ。が、実は去年の春先まで、県や沿線の那覇市、浦添市は「2030年までには…」とのんびりと構えていた。3月の那覇空港第2滑走路の共用開始で利用客が増えることはわかっているものの、全体で280億円を超える事業費と、延伸事業で抱えたモノレール会社の累積赤字が重石となり、なかなか3両化には踏み出せなかったのだ。
ところが、夏の参議院選挙を控え、「菅義葦官房長官(現首相)は業を煮やしていた」(県関係者)という。実際に「内閣府からのご指導はあった」(モノレール社)ということで、3両化は政府主導で一気に進むことになった。
政府は、例年8月の概算要求とりまとめを待つことなく、去年5月の時点で20年度概算要求のハード交付金に「3両化導入加速化事業」として関係予算を盛り込み、補助率も8割に引き上げるという異例づくしの措置をとった。
こうして国庫負担と地方費あわせて224億円がハード交付金で賄われた。しかし、それでもモノレール会社は56億円を負担しなければならない。累積赤字を抱え、債務超過の会社では資金調達はおぼつかない。結局、県、那覇市、浦添市が財政支援として債務の株式化(DES)や出資を行って、モノレール会社の債務超過を解消したうえで、沖縄振興開発金融公庫から融資を受けることになったのである。
「ループ化」など次の展開を描く発想も必要
「2030年までには」という話から急転直下、本格始動した3両化。しかし、そこに襲いかかったのが新型コロナウイルスだった。11年頃から順調に乗客を増やし、去年10月には1日の平均乗客数が6万2,388人を記録した「ゆいレール」だったが、今年4月には2万320人にまで落ち込んだ。ハイシーズンの8月も2万3,618人にとどまるあり様だ。
このところ黒字が続いていた最終損益も、「今年度は十数億円の赤字」(モノレール会社)になるという。今年度中に返済する沖縄振興開発金融公庫からの借入金も、来年度以降に猶予してもらう。