教育現場×ICTでオンラインシンポ 教諭ら先進事例を発表 GIGAスクール構想

 

子どもたちの自己肯定感を高め、自主的に考えや想いを表現する力を引き出すICT教育とは?

 東村立東中学校の大嶺はづき教諭は、「イメージで伝える音楽」をモットーに、楽譜やリコーダーの指使い、実際の音などをアプリケーションで児童生徒と共有する授業を紹介した。授業内のコミュニケーションはチャットを使い、子どもたちの疑問点にリアルタイムで応えることで習熟度の向上にも繋がっているという。
 「普段、人前であまり発言をしない生徒もオンライン上で自分の意見を表示している。個性別に子どもたちの可能性を最大限に引き出すことができます」

 那覇市立泊小学校の伊良波智也教諭は小学校3年生の学級を受け持つ。「コンピューターを触ったことがなく、ローマ字入力を知らない児童にどんな風に指導するかが課題だった」と振り返った。伊良波教諭はローマ字入力のシートを一人ひとりに配布し、Google slideやGoogle meetの使い方を丁寧に教え、段階的に児童のスキル向上を図った。シンポジウムでは、児童が生き物について調べたものをGoogle slideを使ってプレゼンテーションした「オンライン発表会」の映像を紹介した。「コンピューターで児童の学習意欲が高まった。多様化する社会にICT教育は必要です」

各教科のICT活用方法を紹介。生徒会やオンライン体操の開催も

 シンポジウムでは、音楽、体育、理科、算数などの教科に加え、生徒会や児童全員を対象にしたオンライン体操などさまざまな取り組みが報告された。

 西竜王教諭(琉球大学教育学部附属小学校)は、タブレット端末を体育の授業に取り入れた。生徒の様子を撮影した様子を全体で共有し、生徒らが自分の体の動きを客観視してクラスメイトと改善点を話し合う動画を流した。また、新型コロナウイルス感染拡大防止で自宅待機となった児童らを対象に毎朝6時半〜オンライン体操を企画。約150人が参加し、休校中でもICTを駆使して児童とコミュニケーションを取る工夫を見せた。

 仲村良虎教諭(那覇市立城北中学校)は、理科の実験や英語の授業にICTを活用している。Google documentの音声機能を駆使して生徒が発音の練習に自主的に取り組む姿を見せ、「ICT活用の一番の成果は、生徒が自ら表現しようとする姿が直に見れたことです」と効果を語った。

 ICT活用の利点は教師側にもある。宮里盛太郎教諭(名護市立安和小学校)は、Google formsで生徒からアンケートを集め、授業の振り返りに活かしている。「テストだけでなく、教師自身の指導の評価や改善の手立てにもなる。自分の材料として授業をさらに展開させることができます」。さらにGoogle formsやGoogle Jamboardで他の生徒の回答を全体で共有することで、対話に斜めのベクトルが引ける深い学びになるという。「ペアやグループワークだけでなく、より多くの他者の意見や考え方を瞬時に共有できるのも、ICTの強みです。子どもの個性に沿った活用が可能です」

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