カクレクマノミの過去、未来 気候変動にどう対処? OISTが研究論文

 
海中を泳ぐカクレクマノミ(プレスリリースより)

 アニメ映画「ファインディング・ニモ」で一躍人気となった「カクレクマノミ」。沖縄の海でも馴染み深い可愛らしい魚が、サンゴ礁に住む海水魚が気候変動にどう対処するのかを解明する鍵になるかもしれない。沖縄科学技術大学院大学(OIST、恩納村)が8日に発表したプレスリリースによると、同大の研究チームがカクレクマノミの包括的なゲノム(遺伝情報)を構築し、論文をまとめた。

サンゴが減少すれば個体数減も

 カクレクマノミの生息地は沖縄のほか、亜熱帯、熱帯地域の東南アジア、フィリピン、オーストラリア北西部。イソギンチャクやサンゴ礁に生息するため、サンゴ礁が気候変動により減少すると、他のサンゴ礁に住む魚類と同様に個体数の減少が予想されているという。

 サンゴ礁と共生関係にあることなどから、研究論文の筆頭著者2人のうちの1人である海洋生態進化発生生物学ユニットのマルセラ・エレラ・サリアス博士は「カクレクマノミの設計図と言えるこのゲノムは、生物分野の科学者にとって非常に役立つツールになります」と説明する。

 同ユニットを率いるヴィンセント・ラウデット教授も「カクレクマノミは生態学、進化、適応、発生生物学などの研究のモデル生物として用いることができます」と語り、研究対象としての価値の高さを強調する。過去の進化の過程を解明し、未来予想図を描く。

全28種中、2種のみに独自遺伝子

沖縄県恩納村の西海岸。OISTから撮影

 本研究では、沖縄県恩納村で採取したカクレクマノミからDNAとRNAを抽出し、染色体単位でゲノムを構築した。先行研究で公開されたゲノムは遺伝子やその塊が散在した状態のものだったため、染色体上にどのように配置されているかは不明だったが、今回の研究でより完成度の高いものが構築された。

 その結果、クマノミ亜科の全28種のうち、カクレクマノミと姉妹種のクラウンアネモネフィッシュの2種のみにしか保存されていない遺伝子70個が発見された。これらの遺伝子の一部は神経生物学的な機能に関連しており、この2種の行動や生態に影響を与え、他のクマノミ類との違いが生まれた可能性が高いことが判明したという。

 この研究プロジェクトを主導した海洋気候変動ユニットのグループリーダーであるテーウー・リュウ博士は「進化の面から言うと、これら2種のクマノミは他の26種とは異なります。2種が特別なものになった原因を突き止めたい」とさらなる探究を見据える。

 論文の責任著者を担い、同ユニットを率いるティム・ラバシ教授は「公開されたゲノムから既に研究成果が出始めている。気候変動に関するクマノミの研究をさらに進める上で大きな可能性を秘めています。今回の研究成果は、他の実験を始めるための新たな基盤となります」と指摘している。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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