教育現場×ICTでオンラインシンポ 教諭ら先進事例を発表 GIGAスクール構想

 

ICT導入には管理職の理解が必須。GIGAスクール構想を推進するチームビルディング

 タブレット端末やコンピューターを導入し、ICT教育に取り組むには、学校長や教頭先生を始めとした管理職や保護者、現場教員らの理解と協力が欠かせない。GIGAスクール構想が熱気を帯びる中、どのようにして学校現場にICT活用を普及させたのかについて、喜屋武優教諭(南城市立玉城中学校)が一例を紹介した。

 喜屋武教諭がICT活用に踏み切ったきっかけは、理科嫌いの生徒に図や動画を見せることで授業に関心を持ってもらうことだったという。玉城中学校では、学校内にプロジェクトチームを立ち会げ、構内研修を開くなど現場でICT教育を始めるための事前準備に取り組んだ。各学年に教師を配置し、課題や教材を共有し合うことで次第に現場の教師同士が理解を深めていった。

 チームビルディングについては、第二部のパネルディスカッションでも議題に上がった。徳元清政教頭(南城市立玉城中学校)は、コロナ禍の休校中に、プリント配布のみの取り組みに閉塞感を感じてICT導入を決意。セキュリティのリスクを不安視する声も上がったが、皆でリテラシーを高めていったという。「GIGAスクールの本質は、未来を見据えて、今子どもたちのために何ができるか?と考えること。先生が変われば子どもも授業も変わります」と力を込めた。

第二部のパネルディスカッション

 玉城中学校では各教員が熱心に教材を作り、教材(コンテンツ)管理が次の課題になっているという。「互いに共有できれば先生方の業務改善にもなる。教材(コンテンツ)管理も仕組み化したいです」
 さらに、徳元教頭は続けた。「管理職として出来ることは、ICT導入の手続きを円滑にし、使命感を持った主体性ある先生方をサポートすること。子どもたちがタブレット端末やコンピューターを学びのツールとして扱う時代にしていきたいです」

未来に向けて、学校現場と教員、自治体の連携が欠かせない

 小学校のプログラミング教育必修化など刻一刻とIT人材の育成が求められるなか、教員を養成する教育機関でもIT技術に対応できる人材育成が求められている。岡本牧子准教授(琉球大学教育学部)は、大学生の機械工作実習や現職教員を迎えた合同研修などをスライドで流した。「プログラミング教育に対応する教員を育成するため、リアルタイムで情報を交換しています。教員になったときにいかにチームで子どもたちの学びを支えられるか?教員養成の立場で学生と色んな人を繋いでいます」

 大嶺教諭(東中学校)は、「1人で頑張ろうとする先生が多い。教師は授業のプロ。教材研究など遅い時間まで頑張っている様子も見ている。出来る人に頼ることも大切。教師が互いに支え合う体制づくりも欠かせないです」と、チームで取り組む重要性を説いた。

 ネットワーク環境(Wi-Fi)の整備などの課題もあるが、「出来ることから一つ一つ」と取り組む教員たち。既存のルールにとらわれない柔軟な発想が学校現場にも芽吹きつつある。シンポジウムに登壇した先生方が口を揃えて訴えたのは、自治体と学校現場が連携を密にする重要性。沖縄から次世代のIT人材を育成・輩出するために、今まで以上に現場と教育委員会などが連携を取り、時代の変化に対応できる学校づくりが求められている。

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