「本土復帰」題材に沖縄の現実描く 演劇『9人の迷える沖縄人』

 

「どうぞ迷ってください」

 そもそもこの演劇作品を作るに至ったきっかけは、県外の演劇関係者に「沖縄の人は沖縄戦についての話を作らないの」と問われたことだったという。演劇として、戦争を題材にした作品はテーマが重い上、時代考証などにかける労力も莫大なものになる。さらに、戦争体験者ではない世代がどうやって戦争を描き、語るかということも模索中で、「今はまだ早い」という理由で二の足を踏む状態だった。
 そんな中「沖縄を発信する」ことをコンセプトに、沖縄だけの特異な経験として本土復帰という題材が浮上した。安和さんは「おそらく僕たちが本土復帰を肌感覚で覚えている最後の世代。自分の経験に基づいて、経験者として、今このタイミングで演劇に仕立てないといけない」という強い思いがあると言い、それが大きなモチベーションの1つだという。

脚本を担当する安和学治さん

 劇の構成は「エンディングは敢えて開かれたものにしている」と説明する。「現実につながる部分も大きいので、エンディングは見た人に作ってもらいたい。自分の現実について、答えのない大きななぞなぞに直面しながらどうぞ迷ってください」と投げかけた。

 当山さんは現在のコロナ禍で、感染対策をしていた沖縄に県外からの旅行者が訪れたことや、米軍基地内での感染拡大によって瞬く間に県内の感染者が増大した現状に、日本と米軍基地、そして沖縄の関係性が「戦後、復帰後と、基本的な構造が全く変わっていない」と感じたという。「演劇は幕を下ろせば終わるが、我々自身はその後も終わらない、終わらせられない現実で生きていかなきゃならない。舞台という装置を使って、現実にあり続ける問題に向き合う姿勢を問いかけた作品になっていると思う」

演出を手掛けながら出演もしている当山彰一さん
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