安定は「選択肢の豊富さ」

　くにゆーさんは約3年間、市役所職員として働いていたが、時間商人の活動など自身のやりたいことに集中するために、今年の3月に退職した。現在は時間商人と並行して、フリーの動画クリエイターとして生計を立てている。
　公務員を退職して現在の活動をするにあたり、周囲からは応援する声がある一方「公務員という安定」を手放すことに対する心配や反対の声もあったという。
　しかし、くにゆーさんは、この時間商人の活動をしたり、動画編集技術を磨いたりすることこそ、真の安定を得ることができると強調する。

　「安定は『大きな組織に属すること』ではなく、将来に向けて多くの選択肢を持つことだと考えています。今後、収入が下がったり、家族と過ごす時間が減ったり、年金が不十分だったり、公務員でさえも『望んだ安定』を手に入れられない可能性は十分にあります。どうなっても対応できる選択肢を増やすために、個人でさまざまなスキルを身につけたり、将来と向き合い勉強したりすることが大切だと思います」と話す。

　くにゆーさん自身これまで、動画編集の他に、体づくりのトレーナーや税理士法についても学んでおり、できることの選択肢を広げてきた。培ってきた自信や、将来に対する不安の少なさが、くにゆーさんの「やりたいこと」を後押ししている。決して破天荒な訳ではなく、自分の人生と真摯に向き合い将来を見据えた上で、現在の活動を行っている。

番外編：実際に10円で依頼してみた

　取材当日は敬老の日ということで、「祖母へのプレゼントを選んで欲しい」という依頼をすると、快く引き受けてくれた。
　祖母はほとんどの時間を座って過ごすことを伝えると、自分事のように熟考し、祖母の立場になって、プレゼントにクッションを選んでくれた。これで、座ってる時間も快適にすごせる。
　取材をさせてもらった上に、依頼額はたったの10円。帰り際には逆に「いい時間をありがとうございました」と言われた。「僕の方こそ感謝しかないです」と伝えると、「お会いさせていただいている側なので」とくにゆーさん。人との繋がりを大切にしているからこそ、多くの人と繋がれるのだと感じた。

くにゆーさんのインスタグラム@jikanshonin_kny