日給10円で何でも受けます!出会いを重ね「世界中に友人を」

 

一度時間を共有すれば、友達に

 10円で受ける依頼には、大切な条件がある。「依頼主との時間の共有」だ。
 「例えば、依頼主と直接会うことのない『動画制作の発注』などは、依頼主の方との出会いやコミュニケーションがありません。その人と同じ時間を過ごす、ということが大事なことです」
 1日10円の依頼は、あくまでも”仕事”ではなく”依頼”。依頼主が主体となった何かを手助けをするのが時間商人としての活動だ。世界中に友達が欲しいというくにゆーさん。「依頼できるのは一度きりで、それ以降は友達として会います」と話す。一度出会えば、もうその人はくにゆーさんにとって、依頼する・されるの関係を超えた友人だ。
 現在は沖縄を中心にこの友人作りの活動をしているが、ゆくゆくは日本全国、さらには世界へと活動の幅を広げる予定だ。

 この活動に興味を持ってくれた人々がインスタグラムでシェアしてくれたことで、全国各地に応援してくれる方が増え、インスタグラムのフォロワーは現在3700人を超える。
 「全国を周りながら、自分のインスタグラムを見てくれている人と会いたい」と日本一周に依然強い想いを持っているくにゆーさんは「その人の本当の魅力は対面しないと分からない。直接的なコミュニケーションの方が長い付き合いができる」とオフラインでの繋がりを重視している。

「繋がる」だけでなく「繋げる」

 これまでに約90件の依頼を受けたくにゆーさん。依頼主である90人のみならず、その友人や家族など、実際の依頼数の倍以上の人と繋がってきた。初めて依頼してくれたWebライターの方、ハンドボールを教えてほしいと依頼した小学生など、たくさんの顔を思い浮かべて話す。
 「ハンドボールを教えた小学生の子は、家事の手伝いでもらったお小遣いで僕と過ごしてくれました」。元ハンド部のくにゆーさんは、その子から「ありがとう」と言われたことを嬉しそうに話した。

ハンドボールのコーチを依頼してくれた小学生と(本人のインスタグラムから)

 自分がこれまで繋がってきたたくさんの人々。この人とあの人を繋げたらお互い喜ぶのではないか。こんな思いから、時間商人の活動を「自らが繋がる」だけではなく「人と人とを繋げる」という点に昇華させていった。

 多言語での情報発信に課題を感じている県内のあるスポーツチームには、英語ができるインフルエンサーを紹介した。

 「自分だけでなく、周りの人がやりたいことを、やりたいときにやれる状態にしておきたい」

 人との繋がりを大切にする時間商人くにゆーさんの活動は、対面でのコミュニケーションが減り、希薄になりつつあるといわれる現代の人間関係のあり方を再考させてくれる。

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