「こども庁」構想に迫る②霞が関の縦割りは本当に乗り越えられるか

 
東京・霞が関のビル群

 子供の自殺、貧困、いじめ、不登校、虐待、そして少子化。日本の子供たちを取り巻く環境は危機的状況にあります。実は沖縄では事態はさらに深刻。文部科学省の調査によると、2020年度における不登校の割合が小中高校別でそれぞれ全国2位・8位・1位、2019年度におけるいじめの割合が小中高校の合計で全国10位となっています。

 全国のこうした危機的状況の打開に向けて政府が打ち出したのが「こども庁」構想です。各省庁の縦割りを排し、網羅的・一元的に取り組むための新組織創設の一大プロジェクトがいよいよ本格的に動き始めました。しかし、議論が始まるや否や、文科・厚労をはじめとする関係省庁や族議員、関係団体による水面下での激しいバトルが報道で取り沙汰され、過去の失敗を引き合いに、選挙目当てと揶揄する声も少なからず聞こえます。

 省庁の縦割りを解消することは、なぜこんなにも難しいのか。沖縄の教育環境にも大きな影響をもたらす「こども庁」構想に3回シリーズで迫る第2回目。

イメージ画像(写真ACより)

こども庁創設の最も大きな壁

 それは、何といっても省庁の縦割り行政を打破することです。最も大きな壁であると同時に、最も重要なポイントでもあります。しかし、「子供たちを巡る様々な問題を解決するために大胆な対策を打つ」と聞いて、反対する国民はほとんどいないのではないでしょうか。「バラバラになった担当部署を1つにして効果的に施策を実行する」と聞いて、おかしいと思う国民はほとんどいないのではないでしょうか。

 ではなぜ、縦割りの解消が最大の壁となってしまうのでしょうか。

 そこには、過去の経緯や政策の現実を熟慮しなければ見えない、高くて大きな壁が存在しているのです。

文部科学省vs厚生労働省―「幼保一元化」論争にみる長年の綱引き

 こども庁実現の肝は、子供関連政策を担う二大巨頭、文部科学省と厚生労働省がそれぞれ握っている予算や権限をしっかりと整理・統合することにあります。その難しさを理解していただくため、最もわかりやすい事例として「幼保一元化」論争を紹介しましょう

 文部科学省が所管する幼稚園と厚生労働省が所管する保育園。どちらも小学校就学前の子供が通う施設ですが、以下のような違いがあります。

内閣府資料より作成

 本来、保護者の就労状況などにかかわらず、同じ年齢の子供は同じ内容の幼児教育や保育を受けられることが望ましいとして、幼稚園と保育所を一元化する考えが1960年代からすでに提唱されてきましたが、現在も両者は併存しています。特に1990年代ごろから、女性の社会参画や核家族の増加で、保育園に入れない待機児童が増える一方、幼稚園の定員割れが生じ、「預かり保育」を行う幼稚園が急増。こうした二重行政がますます進む状況を背景に、幼保一元化が声高に叫ばれるようになりました。

 そして、この論争が最も熱を帯びたのが、2001年以降。小泉政権が推し進める構造改革の1つのテーマとして、幼保一元化が俎上に載った時でした。

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