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非行をどう防ぐのか 月影のパトロール隊に同行取材
- 2020/10/5
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いつもより参加者が多いのは、休校期間中に生徒が参加して作った「恋するフォーチュンクッキー」のCD先行試写会が行われるからだと後で分かった。生徒が踊る曲は地元民謡に囚われることはないのだ。年配のOB、OGたちのノスタルジーに振り回されず、生徒自身が選曲してやりたいことを表現すればよい。
はにかみながら、照れくさそうに「恋する~」を踊る生徒たち。懐かしい「ねるとん紅鯨団」の演出も取り入れ、憧れの女の子に2人の男の子が交際を申し込み、「恋とドローンは不安定!」というオチも決まり、父母たちには大うけした。このオチのために同中2年学年主任の砂邊昭利教諭は、自腹でドローンを購入したという。熱意の程が見て取れる。
試写会が終わり、生徒指導担当の花城勉教諭による伝達事項を終え、参加者三十数人はA、Bコースの2班に分かれ、腕章と懐中電灯を受け取り、街に繰り出した。記者は車による巡回ではなく、徒歩で回るA班に同行した。
市営住宅団地の駐車場と棟の谷間、公園内のあずまやとトイレ・ベンチ、商業施設の死角になるスポットなどを歩いて回る。公園のベンチに2人の人影があったので近づいていくが、高校生らしい男子2人は飲酒も喫煙もしておらず、「遅いから早めに帰ってね」と声を掛けてその場を去る。
商業施設のあずまやで、4人組の男性が酒盛りをしている。井上さんに制止され距離を保って見守った。全員で行くと動揺させるので2人態勢で声を掛けるという。那覇市教育委員会の委嘱を受けた大田秀美指導員が4人の元から帰ってきた。成人なので「飲み終えた空き缶などは持ち帰ってね」と諭し、一行はその場を去る。
吸殻や缶チューハイの空き缶を発見
この日は中秋の十六夜月。那覇西高校PTA健全育成部の小波本里美部長は殊の外、月夜の下の巡回が感慨深げのようだ。聞くと石垣島の出身で、毎年旧暦8月13日に開催される恒例の「とぅばらーま大会」が、つい3日前に行われたばかりなのだ。
月明かりに照らされた商業施設の建物の裏側に回ると、吸殻を参加者が発見した。3本と少なかったので、どうやら上の階の飲食店から投げられたのだろうということになった。営業への影響も考慮しながら店舗内を巡回することもあるようだが、この日は周辺だけに終わった。
滑り台などのある児童施設の庭も巡回範囲に含まれる。大田指導員は、あずまやの屋根の柱に描かれた落書きを見逃さなかった。「ニューヨークの地下鉄の落書きのようなものですか」と問うと、間髪入れずに「そうです。落書きがあると荒れている確率が高いんです」と答えた。