ウェルネス沖縄が夏の第1シード獲得!沖縄尚学を4ー3で下す

 
延長十一回、サヨナラ勝ちを決めて喜びを爆発させるウェルネス沖縄のメンバー=4月9日、沖縄セルラースタジアム那覇(雑誌「ホームラン」提供)

 高校野球の沖縄県春季大会で初優勝したウェルネス沖縄と、九州王者として春のセンバツ甲子園に出場した沖縄尚学は4月9日、沖縄セルラースタジアム那覇でチャレンジマッチを行い、延長11回タイブレークの末にウェルネスが4ー3で勝利した。

 この結果、夏の甲子園出場を懸けた第105回全国選手権沖縄大会の第1シードはウェルネス、第2シードは沖尚に決まった。

捕手の新城がサヨナラ打!安里の粘投も

九回まで136球の力投を見せた安里幸大(雑誌「ホームラン」提供)

 ウェルネス先発の安里幸大は初回、強打の沖尚打線にいきなりつかまる。コントロールが安定せず、単打と四球で1死一、二塁のピンチを招くと、2連打を浴びて2失点。幸先の悪いスタートとなった。しかし、二回以降は毎回安打を打たれながらも、捕手の新城琉愛から「気持ちで負けるな」と鼓舞され、粘りの投球を見せた。

 すると、打線もすぐに援護する。三回裏、制球に苦しんでいた沖尚先発の儀部皓太朗を攻め、相手の失策と4番・當銘愛渉の適時打で同点に追い付いた。

 その後は両チームとも好機で一打が出ず、無死一、二塁の状態から攻撃を開始するタイブレーク制の延長へ。十回は1点を取り合って勝負が付かず、十一回に入った。ウェルネスは表の守りでエースの上原律己が登板し、2三振と完璧な内容でゼロに抑え、勝負を決める最大のチャンスを迎えた。

 1死満塁で打席が回ってきたのは8番・新城。「外野にさえ打てばサヨナラだったので、自分で決めようと思った」と右打席に入った。1ボールからの2球目、インコース高めの直球を思い切り引っ張り、レフト前に運んでサヨナラ勝ち。その瞬間、ベンチからメンバーが飛び出し、全員が喜びを爆発させた。

沖尚エース出さず かぶとの緒を締めるウェルネス

延長十一回裏、サヨナラ適時打を放つ新城琉愛(雑誌「ホームラン提供」)

 殊勲の一打を放った新城は「監督から『外野に持って行け』という指示があったので、その通りに自分のスイングができて良かったです。打った瞬間、抜けたと思いました」と歓喜の瞬間を振り返った。

 昨年の秋季県大会決勝では沖尚に3ー10で大敗し、力の差を見せ付けられた。春のセンバツで16強入りした沖尚の戦いぶりをテレビで見ていたという新城は「沖縄代表として沖縄尚学が甲子園に行き、チームみんなが悔しい思いをして、沖縄尚学と対戦することをイメージして練習をしてきました。1点差で勝ててうれしいです」と語った。

 五十嵐康朗監督も沖尚に勝てたことは「すごい大きいこと」と指摘する。その上で「春季大会は、選手それぞれが何かを掴んで終わろうという話をしていましたが、この試合に関しては『とにかく勝ちたい』という気持ちが子供たちにあった。その気持ちが今日の粘り強さを生んだんだと思います」と戦う姿勢を高く評価した。

 一方この試合では、沖尚は絶対的エースである東恩納蒼をベンチ入りさせなかった。夏の全国選手権沖縄大会で再戦することになれば、舞台は甲子園行きの切符を懸けた決勝となり、その場合は東恩納を打ち崩す必要が出てくるだろう。そのため、チームにはさらなるレベルアップが求められる。

 指揮官は本番の夏に向け「各ポジションでの守り、ベースの上に立った時の走塁、打席でどう勝負するか。個人個人のプレーのレベルを上げていきたいです」と勝ってかぶとの緒を締めた。

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長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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