“ゼロ”からの大きな一歩 那覇高18歳の須藤春輝がキングスデビュー!

 

フォーメーションの理解に学び

チームメートとハイタッチする須藤

 帯同した約3カ月間は学びも多かったようだ。

 「技術面もそうですが、U18と一番差を感じたのはフォーメーションの理解度の深さです。一つの状況判断をする時にいろんな動きがある。ガードとしてプレーをコールするにしても、本当に難しいと感じました。フィジカルは全然敵いませんでしたが、スピードとドライブは通用しました。自分の強みをもっと尖らせていくことに専念し、ユースでも頑張っていきたいです」

 自身は松島中2年の頃、学校の部活動からキングスU15に移籍。将来プロ選手を目指す中、Bリーグユースには「プロに近い環境がある」という理由で決断した。そんな須藤に、ユース育成特別枠の経験を経た今、この制度の意義をどう感じるか聞いてみた。

 「学校の部活とBリーグユースでは、まだ部活の方がレベルが高いと言われますが、ユースはプロの下のカテゴリーなので、トップチームからの戦術の落とし込みもあります。プロを目指していく中で、長い目で見た時に難しいフォーメーションをスムーズに理解できたことは、ユースに所属していることの強みなのかなと感じます。今回はたまたま試合に出れただけではありますが、育成特別枠は本当に魅力のある制度だと感じました」

「夢は空高く、努力は足元に」

 「高卒でプロ契約」を最大の目標に据え、来シーズンも育成特別枠でのメンバー登録を狙っているという。

 「夢は空高く、努力は足元に」という言葉を信念に掲げ、「高校3年生のこの1年間はウエイトトレーニングに集中して、体重を増やし、トップチームでもある程度当たり負けしないような体づくりを意識して取り組みます。周りの方々への言動や態度を謙虚にして、応援されるような選手になっていきたいです」と力強く語った。

 体は小さくとも器の大きな“小さな巨人”は、地に足をつけ、大空に描く夢へと着実に歩みを進めている。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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