辺野古承認「撤回」で県敗訴確定 最高裁、県の上告棄却
- 2022/12/9
- 政治
最高裁は8日、米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる埋め立て承認の撤回を国土交通相が取り消したのは違法だとして沖縄県が提起していた訴えについて、県の上告を退ける判断を下した。承認撤回について、県の敗訴が確定する形となった。
辺野古移設では、国と県が司法闘争を繰り広げてきた。2013年3月に沖縄防衛局が沖縄県に対して埋め立て承認を申請。同年12月、当時の仲井真弘多知事が同申請を承認したのに対し、14年11月の県知事選でオール沖縄から出馬して圧勝した翁長雄志県政は15年10月には同承認を取り消す。これに対し、国土交通相は是正指示を出したほか訴訟も提起して県側の敗訴が確定している。
今回の訴訟は、2018年8月、翁長氏が急逝後に県側が軟弱地盤の判明などを理由に行った承認「撤回」をめぐるもの。同年10 月、沖縄防衛局は国土交通相に対して審査請求を行い、同相は19年4月に撤回を取り消す裁決を下した。
沖縄県は、これまで一審・二審でも同裁決の違法性を争ってきたが、司法側は埋め立て承認が本来は国が果たすべき「法定受託事務」であることなどを根拠に、県の主張は裁判の対象とならないとしてきた。
最高裁も、法定受託事務の適正な処理を確保するためには、都道府県が抗告訴訟により審査庁(今回は国土交通相)の裁決の適法性を争うことは認められていないと解釈すべきと判断し、原審の判断を支持した。
判決を受け、玉城デニー知事は県庁で会見し、「非常に残念であり、到底納得できるものではない。今回の最高裁の判決は、地方自治体と国はあたかも上級・下級の関係にあると言わんばかりの判断をしたもので、地方自治の観点からも問題があると言わざるを得ない」と批判した。
県は21年11月、軟弱地盤を理由に沖縄防衛局が工事の方法について変更を求めた設計変更を不承認とし、国土交通相は同不承認について取り消す採決や是正指示を出している。県は同採決や指示を違法として3件の訴訟を提起しており、今後も国と県の対立と司法闘争が続く見通し。
(記事・写真 宮古毎日新聞)