沖縄電力コーチ・大城直也さん(上)沖縄野球人伝説②

 

 夏、埼玉栄戦では適時打を含め猛打賞の活躍も、チームはまたもや一回戦敗退。優勝候補がまさかの初戦で姿を消した。甲子園はどんな場所だった質問すると、「あの応援、大声援があるのにグラウンドに立つと“静か”で気持ちがいいんです。音が上空で舞っている感覚。だからセンターとも内野とも話ができるんですよ。打席で集中すると何も聞こえなくなる」。気持ちよく戦えたはずなのに勝てなかった。

試合前のシートノック

 何が足りなかったのか聞いてみると、「自分は打ったし、選手個々の実力はあった。でもキャプテンとしてチームを引っ張れなかった。みんなには、俺のプレーを見てついてこいと思っていた。しっかりとしゃべればかった、声を掛ければよかった。言葉足らずでしたよね。キャプテン(自分)で負けた。今思えば、ね」。そう高校時代を振り返った。

 そしてこうも付け加えた。「甲子園はずっと目標にある。今でもプレーしたいと思う」。その場所は今なお、憧れの聖地なのだ。

 甲子園の熱い戦いを終えて注目されたのは、やはり彼らの進路。誰しも大城直也は絶対プロ野球に行くだろうと思っていた。しかし、ドラフト当日、別室で待機したのは新垣渚だけだった。

 「そこで僕はないなと。あとから聴いたんですけど、広島と中日から話があったらしいです。でも学校側はドラフト1位以外はNOだと。なぜなら引退した後に保障があるのはやはり1位だからこそ。ぼくらの人生を思っての最大の配慮だった」

 悔しかった。納得がいかなかった。が、それが運命。プロは4年後だと大学進学を決めた。(つづく)

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