桜の名所で自転車レース 八重岳ヒルクライム

 
八重岳ヒルクライム

 ペダルを必死にこぎ続ける選手からは「ハッ、ハァ」と息とともに声が漏れる。山や丘陵の坂道を駆け上がる登坂競技、ヒルクライムが本部町の八重岳で開催された。競技が行われた1月17日はまだ1,2分咲きだったが、第43回本部八重岳桜祭りが1月16日~31日の日程で開かれる中での開催となった。

休みなく、登りっぱなし

 午前7時半、「もとぶ八重岳ヒルクライムレース2021」の参加者は、レースのため交通規制されたふもと町道入口から、頂上近くのゴールまでの4,24km、標高差359mを1人ずつ数十秒間隔でスタート。自転車につけた記録用のICチップでスタートのラインをまたぐとタイム計測が始まり、ゴールラインで終わる。

 1回目の今大会には、ロードレースのツール・ド・おきなわ出場経験者から健康づくりのため早朝や週末に自転車を楽しむ人たちまで、県内80人あまりが出場した。中高生から60歳台までとさまざまな年代の出場者が18~29歳以下など各カテゴリーで日頃鍛えた”脚”を競った。

 ヒルクライムは、文字通り坂を上りっぱなし。今回の八重岳町道コースは厳密に言うと1カ所急な下り坂があるものの、勾配平均は8.5%、最大で16.3%。急な坂道を4km以上漕ぎ続けるイメージだ。

参加者の声は

 参加者にはロードレースを多数経験している選手もいたが、例えばツール・ド・おきなわだと、コースのアップダウンの激しさはあるものの、下り坂や比較的平坦な場所では“脚を休める”ことができる。しかしヒルクライムは休む間も無く登りっぱなし。八重岳での登坂はなかなかタフだったと話してくれた。途中、思わず足が止まり下車する参加者の姿もあった。それでもほとんどの選手が完走。レース後は充実した表情やホッとした笑顔を見せる人が多かった。

 6人居た女性参加者のうち、2人に話を聞いた。地元本部町出身の島袋さくらさんは自転車歴2年。勤務先のある名護市在住のメンバーのチームに入って、毎朝5時半から1時間、名護市街地と本部港の間、往復25kmを走ることを日課にしている。
 「(自転車に乗るようになって)やんばるは自然が豊かできれいだなと実感するようになりました。地元の八重岳もレースで上る機会があって、たいへんだったけど、新鮮な気持ちになって楽しかったです。」

 那覇市出身の武富理沙(たけとみ りさ)さんは名護市在住で、島袋さんはじめ自転車仲間と同じように、毎日朝練に励んでから仕事に出るという健康的な日々を送っている。
「自転車を始めて2年半くらいなんですが、今回初めてレースに参加しました。ちょっと不安もあったんですが足を着かずにゴールすることができて嬉しかったです。」

(左)島袋さくらさん(右)武富理紗さん

 そして中にはマスコット(?)のクロマグロと職場のユニフォーム姿で参加した人も。清水康裕(しみず やすひろ)さんは本部港の沖合にクロマグロの養殖場を持つ、有限会社日本鮪養殖 沖縄事業所の職員でさわやかな笑顔で話してくれた。
「会社のPRもそうですが、本部でクロマグロを養殖しているということのアピールと、地元事業者として、本部町のイベントに参加して盛り上げたいという思いで参加しました。気持ちよかったですよ!」

(有)日本鮪養殖 清水康裕さん

 ちなみに今大会の最速記録は21歳の大学生、新崎顕司(あらさき たかし)選手がマークした14分33秒082だった。

桜まつりとコラボ

 本部町八重岳は、近隣の名護市や今帰仁村とともに、例年1月に桜まつりを行っている。本州で一般的なソメイヨシノと異なり、濃いピンク色の花が特徴のカンヒザクラが地域一帯に7000本あり、中腹にある公園や大駐車場を中心にイベントや出店で賑わう。

 本部町が主催した今回のヒルクライムは、この桜まつりと連動して企画され、県内外から自転車チームや愛好家に参加してもらいスタートする予定だった。しかしコロナ禍で県外向けに参加者募集は断念。県内向けに、密を避け体調管理の徹底など感染防止対策をしながらの第1回開催となった。参加者には全員にレトルトのもとぶ牛カレーや、かつおめし、シークヮーサー果汁のボトルなど地元の加工品や名産品がプレゼントされ、好評を得ていた。また成績上位者には、地元企業の運営する飲食店の食事券や美ら海水族館の年間パスポート券など、こちらも本部ならではの賞品が贈られた。

ヒルクライム参加賞

町を盛り上げるスポーツイベントに

 今年、桜まつりは名護、今帰仁で中止、屋外スペースが広くとれ、密が避けられる本部でも、ステージイベントや出店などを大幅に縮小しての開催となった。その中行われた初めてのヒルクライム。最初からコロナ禍への対応という難しい問題に直面したが、斜度がありかつ短いという沖縄ならでは、島の坂道の特徴を生かしながら地元のPRにもつなげる試みには、参加者からも継続を望む声が上がっていた。

 町おこしにつなげたいと行政や民間が知恵を絞り協力して実現した大会。例えばふもとから頂上近くまでだけでなく、ゴールを中腹に設定する初心者向けのコースがあればより参加したいと思う人のハードルは下がるかもしれない。これからの可能性を感じさせるスポーツイベントとなった。

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吉田鉄太郎

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読谷村出身。県外放送局勤務後、帰郷しFM沖縄・FMよみたん情報番組パーソナリティー、RBCスポーツキャスターなどを経て、現在はQAB報道部にてスポーツを中心に記者業務に携わる。ヴォーカリストの妻とバトントワリングに励む娘と元気に楽しい3人暮らし。

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