【那覇市長選】「市民目線を貫いていきたい」当選の知念氏一問一答

 
当選確実の報を受けた後、報道陣の質問に答える知念覚氏

 10月23日に投開票された那覇市長選挙は、無所属新人で政権与党が推す前副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=が64,165票を獲得して初当選を果たした。同じく無所属新人の前県議・翁長雄治氏(35)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=に約1万票の差をつけた。
 那覇市政に38年間携わり、城間幹子市政では2期8年に渡って副市長を務めた経験と実績をアピールした知念氏。城間市長の支援も受けながら、コロナ禍や物価高騰で打撃を受けている市民生活への緊急支援や、子育て世代への支援拡充、そして「協同のまちづくり」を基本理念として訴えてきた。当選確実の報を受けた直後、報道陣の質問に応じた知念氏の一問一答は以下の通り。


 ―当選確実になりました。何が有権者の支持を得たと思いますか?

「私は今回、役所は総合力、そして即戦力が必要ということを申し上げてきました。子育てからお年寄りまで、市役所の仕事ってのはそういう幅広いものだとしっかり伝えてまいりました。(当選が確実となった今)もう私の頭には明日のことしかございません。『即戦力』なんだということをしっかり市民の皆さんに実証してみせたい。それが私の出馬した意味だと思いますので、その姿勢が評価されたのだと考えています」

 ―即戦力として副市長の実績をアピールしてきましたが、まずはどんなことから取り掛かりますか?

「やはり現在の経済状況の回復ということが第一に挙げられると思います。ただし、それに加えて子ども政策、福祉、都市基盤など、私が短期の項目として7つ挙げているものですね、これらを重点的にやっていきたい。それと、那覇市の総合計画の遅れてる部分を同時並行でしっかり取り組んでいって、早めに中間地点まで持っていきたいという気持ちです」

 ―その中で子育て世代への支援拡充も訴えてきましたが、具体的にはどんなことに取り組む予定ですか?

「子育て世代支援の拡充についての論点は、今回の選挙でも大きかったと思っています。特に予算を使うものですね。具体的には給食費の無料化、高校生の医療費無料化、この2つ。ただ、給食の無料化はですね、知事選で玉城知事が公約に掲げていた。これが市町村と県との負担割合という点で今後の論点になってくると思います。那覇市の場合は、ある程度のものは受け入れられるんですけども、他市町村が「半分なら財政的に厳しい」など、そういうことが起こる可能性があると思うんですね。県内の子どもたちは皆平等ですので、そこをしっかりと連携して県と協同で取り組んでいく。そういった部分が1番大きな子育て支援の目玉になるかと思ってます」

 ―今回の選挙戦は自民・公明に加えて城間幹子市長の支援を受けました。城間市長の支援はどのように影響しましたか?

「かなり大きかったと思います。ただし、やはり私どもは『市民のために、市民とともに』という標語のもと8年間やってきたんですね。ですから、城間市長が判断したのは、あくまでもその基本理念に基いて『知念覚が次に相応しい』という判断をしたと思うんです。ですから私は、今まで通りの視点から『しっかりしなさいよ』と城間市長に託されたと思っていますので、この市民目線はずっと貫き通していきたいという考えです」

 ―翁長雄志前市長の息子である雄治さんとの選挙戦をどう振り返りますか?

「翁長元知事の息子だから、ということを特別に意識したわけではありませんでした。那覇市民にとってどういう政策を掲げて、それをどういう形で訴えてるのかなというのは興味がありました。今回の選挙では雄治さんに投票した方々もたくさんいますから、今後私の課題としてはその方々の気持ちについて考えて、どこを私より(翁長氏の方が)優れてるんだという風に見たのか、これをしっかり検証して、私自身が生かしていくべき課題だろうと思っています」

 ―玉城デニー知事が支援した翁長さんを破っての当選確実となりました。市政と県政との関わりの部分で課題などありますでしょうか?

「私は玉城県政を支持しますか、という問いには“三角”をつけたんですね。良いとこもあれば、少しおかしいんじゃないでしょうかということもあります。ですから私はそれをしっかりはっきり、是々非々で臨んで、対立とかそういうことは一切考えておりませんので、そこをしっかり那覇市側の視点で、県側ともっと交渉もしていきますし、話し合いもしていく。そういうスタンスでございます」

 ―最後に、どんな那覇市をこれから作っていきたいですか?

「私が目指してるのは、子どもからお年寄りまでが地域でしっかり楽しく生活できる『協働のまちづくり』というものです。でもそれは基礎固めでしかないんですよ。これを基礎にして、最終的には『地域包括ケアシステム』という那覇市のしっかりとした核を作り上げて、ここでみんなが夢を持ちながら楽しく生きていける、そういうまちづくりを目指しております。それを私の長期的視線としてしっかり貫いていきたいと思います」


真栄城 潤一

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1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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