「沖縄をウイルスから守る」防疫最前線の現場から

 

――春先とはいえ、今年は暑かった。

「暑さも大変ですが、一般の人から見れば白い服を着たオッサンが消毒液を撒いているだけと映るかも知れないですが、一見単純な作業に見えて実はコツや経験を要する作業です。6時間交代で当たったのですが、引き継ぎなどが満足にできなかった部分もあって、人員増が必要です。その意味でもOBのマンパワーが必要なんです」

沖縄サニタリー株式会社 下地常弘常務取締役

――CSFが一段落したと思ったら新型コロナウイルスですね。

「自分も感染するリスクがあるところがCSFとの大きな違いで、職員が怖がってしまいますが、手順を守れば安全だということを示した上で現場に送り出しています。クラスター(感染者集団)の出たコールセンターなどの消毒にも当たりましたが、我々の仕事は消毒だけでなく建物を立ち入り禁止区域にし、安全ゾーンと汚染ゾーンに分ける『ゾーニング』をして、社員に衛生教育の講習会を開くなどソフト面まで含めています」

「受け入れホテルない」の発表は本当だったのか

――ウイルスの封じ込めはなんと言っても「検査と隔離」と言われますが、収容施設を巡り、県の発表に嘘があったというのは本当ですか?

「県は無症状や軽症の患者の受け入れに『手を挙げてくれるホテルがない』と言っていましたが、それは違います。友人が経営するホテルは弊社の空気清浄機を各ルームに導入し、通常1万円以上のところを協力の意味で半額でもよいと申し出たのですが、那覇市は『予算が確保できない』と断りました。それでもって『どこも手を挙げない』と言うのはあり得ないです。それならホテル協会やホテル組合にお願いしましたか、と問いたいです」

――CSFにしてもそうなんですが、行政の対応が後手に回っている感がありますね。

「行政改革で保健所は減らされ、自治体は職員を減らされ、限られた人員で現場の職員は本当に頑張っています。コロナ対応を巡っては、県庁内で担当領域が明確に決まってないので、『なぜ自分たちの部署でやる必要があるのか』と考えて入る職員も中にはいます。一方で、優秀な職員は県にも市町村にもいるものの、保健所を含め横の連携が取れていないので、その人材を有効に生かしきれてないような気がします」

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