「夜の街・松山」を足下から支える

 
大嶺正樹さん

 東京都の小池百合子知事は、後手に回った新型コロナ対策の責任をクラスター(感染者集団)が発生した新宿歌舞伎町に転嫁すべく「夜の街感染」という言葉で耳目を集めた。それ以後、居酒屋から「接待を伴う飲食店」までがやり玉に挙げられ、感染者を出している出していないにかかわらず、飲食店関係者は肩身の狭い思いをしてきた。

 沖縄の夜の街と言えば那覇市松山の繁華街だ。その松山で8年前、主にホステスやキャバ嬢御用達の靴店を開業したのがレーヴ・マルシェのオーナー大嶺正樹さん。以来、この街を見続けてきた。店頭に「只今セール中」の横断幕が掲げられる店内で、コロナ禍の松山で働く人々のありのままを聞いた。

フェースガード 客から「そんなの取れよ」

――この8年で大きく変わったことは?

「当初は地元経営の店が多かったのですがここ数年の傾向として、キャストの女の子のクオリティーが高い本土大手チェーンが入ってきました。資本力に物を言わせ大箱を作り、時給も上げてキャバ嬢もボーイも大量募集したのでそこへ流れ、閉店した地元店も出ました」

――大嶺さんのお店の営業時間も変わったんですね。

「現在はコロナ禍の影響を受け午後6時から11時までの時短営業をしていますが、それ以前は午後4時から午前3時まで営業していました。ヘアセットや着付け前の6時台と閉店後の未明に女の子が来ることが多いのでそうしていたんです。閉店後に来る子は客の愚痴などをこぼしたり、いろんな相談事をしたりして帰っていったものです」

――コロナの影響が目に見えて現れているのは?

「政府による緊急事態宣言が全国に出された4月中旬以降、女の子たちの出勤日数、それと勤務時間に即影響が出ました。日数が減らされた上、来客が見込めないとなると“早上がり”を迫られるんです。キャストしている時間だけ時給が発生し、待機中はノーギャラという例も聞きました。さらには、キャスト中も時給はなしで“同伴”と“ドリンク”のバックだけが女の子の取り分という話も聞いています」

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