沖縄空手と本土の空手の違い その二 沖縄空手の世界⑤ 

 

空手が広まりすぎ?広めない努力?

 筆者が取材・編集している総合空手マガジン「新・空手道」の最新刊では小説家で空手家の今野敏先生と沖縄空手家の山城美智先生の初対面による対談取材が実現しました。この対談の中で、今回のテーマである「沖縄空手と本土の空手の違い」にも話題が上がり、その中で沖縄空手の魅力は「多様性」にあるとの発言がありました。

「新・空手道 第3号」2020年9月発売

 空手が多様性になりすぎたというのは筆者の感想ですが、空手は一人々々がそれぞれの空手を創り稽古していくものだと思います。人間はそれぞれ骨格から筋肉の構造も違い、性格や考え方も違います。

 昔の手(ティー ※沖縄土着の武術 )の時代には、稽古は師と弟子がマンツーマンで行い、空手をやっていることは他人には知られないようにこっそり行うものとされていました。空手は人に見せるものではありませんでした。なので名前が残っていない無名の空手家は私たちが知らないけど無数にいた事でしょう。現在、大会や演武会で型を演武して空手の技を見せ、試し割りを披露することは昔の手(ティー)の時代からするとありえない状況なのかもしれません。

 さて、沖縄と本土、更に世界に広まった空手はこれからどういう方向に向かうのでしょうか。広まったことは良いことと考えるべきなのか。以前、首里手の金城裕先生に直接聞いた言葉が頭をよぎります。「これからは空手が広まらない努力をしなければならない。」とても含蓄ある深い言葉として筆者の心に響いています。

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