沖縄空手と本土の空手の違い その二 沖縄空手の世界⑤ 

 

 余談ですが以前、沖縄民謡の大家である登川誠仁の太鼓を沖縄音楽ライブで直接見て聴く機会がありました。ステージの始めから舞台で使用されていた太鼓の音色が今までと全く違う洗練された音色に感じられ、音楽は専門外の筆者は感銘を受けました。ご本人は演奏前に「バチさばきを見て下さい」と言って演奏を始めました。二つのバチが生きているような滑らかで美しさと力強さも感じるバチさばきでした。

沖縄空手は文化 本土では武道、スポーツ


 沖縄空手は武器術の古武道を併せて取り組む人が多くいますが、本土の空手ではまず見受けられません。沖縄空手では古武道を習得することにより素手の動きを理解し、身体を練る稽古も兼ねるという考え方があります。型の中には武器に対する用法も多々あることから古武道に取り組むことは自然なことだと考えられているのです。沖縄の古武道には空手と違い流派はなく、二人の武道家の系統(平信賢=平系、又吉眞光=又吉系)はありますが“型”自体には大きな違いはありません。

 さて、元々は沖縄から本土に伝わった空手ですが、普及するに従い“型”や“組手スタイル”が徐々に変化していったことは事実です。型では沖縄の自然風習の環境で創られたものが、環境の異なる本土では理解、適用されず、独自の解釈が加えられていったという流れがあります。

 空手は武術なのか、武道なのか、スポーツなのか。いろいろな議論を呼ぶところではありますが一番の違いは感覚の違いではないかと筆者は思います。沖縄空手は文化として捉えられ、本土において空手は武道、スポーツであるのかもしれません。もちろん、身体を鍛え日常に張り合いを持ち豊かな人生を歩む、という共通の目的はありますが、文化として日々取り組むのか、試合を目指して競技として取り組むのか、かつては多かった喧嘩に強くなりたく取り組むのか、空手を志す目的の違いが空手に取り組んだ人に何が残るのかという違いがでてくることは確かでしょう。

1万人以上の観客の中で空手の試合が行われる(新極真会世界大会)
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