沖縄空手会館が開館から5周年 沖縄空手の世界⑩ 

 
沖縄空手会館

 今年3月4日、沖縄県の豊見城市にある沖縄空手会館が開館から5周年を迎えました。沖縄県の地図や観光案内書にも明記されて認知、認識も高まってきています。この2年間は新型コロナウィルス感染症により施設の自粛や海外からの利用者が激減しましたが、緊急事態宣言やまん延防止措置の間は休業や時短営業で対応し、施設の食堂をワーキングスペースとすることでしのいでいます。

 さて、沖縄空手会館が開館する前に沖縄県庁に空手振興課が誕生しました。沖縄空手の現存する4団体はまとまって沖縄伝統空手振興会となりました。10月25日の空手の日に加えて、沖縄にとって空手を知ってもらうには良い流れでした。

 沖縄空手会館は、沖縄の文化である空手の殿堂として空手を稽古する場、空手にふれて体験・学習する場として沖縄県が設立した施設です。誰もが利用出来て、立地も那覇の繁華街や那覇空港からも近い所にあります。施設の資料室は空手の歴史と流派を学べる映像シアター、琉球王国時代からの空手資料、流派の説明、沖縄空手人物、古武道具の展示と様々な資料が展示されています。体験コーナーで鍛錬具を試し体験できます。3D映像による沖縄空手の各流派を見ることのできるモニターもあります。

 この間の大きな出来事としては、2018年8月に行われた第1回沖縄空手国際大会の開催です。大会会場として沖縄県立武道館と沖縄空手会館で併設して行われました。この大会には世界50ヵ国から3200名の参加者があり一週間に渡り行われました。競技大会と空手セミナーがあり、夜にはそれぞれの道場で出稽古がされていました。海外空手家にとって沖縄空手会館に直接訪問するよい機会となりました。

琉球紅瓦の特別道場「守禮之館」

 また、沖縄空手会館の直接の運営(指定管理)は一般社団法人沖縄観光コンベンションビューローが最初の3年間運営して、2020年4月からは沖縄ツーリスト株式会社の運営となりました。二代目館長である中村靖館長は、沖縄ツーリスト株式会社の副社長であり、沖縄空手界でも著名な沖縄拳法創始者・中村茂の孫にあたる空手家でもあります。

 筆者は、年に2回ほどの沖縄訪問で地元の方々に空手のことを聞いてみると、空手に興味がなく知らない県民も多々いることを感じます。そんな中、沖縄県民が知らない人はいないのが、昨年の東京オリンピックの空手競技で金メダルを取った喜友名諒選手の存在です。具志堅用高がボクシングの世界チャンピオンだったことはほとんどの沖縄県民が知っていることと同じです。空手に関心がなくても沖縄初の金メダリストが空手で獲得したことは子供でも知っており、その空手は沖縄発祥ということも併せて知る機会になったと思います。

 そんな金メダリストである喜友名諒選手が、5年前の沖縄空手会館落成式で出来たばかりのメイン武道場で同じ道場の劉衛流龍鳳会の上村拓也選手、金城新選手と三人で演武しました。ちなみに、喜友名選手の金メダルをたたえて今年の2月に那覇市内の空手用品店・守礼堂(同3階には劉衛流・佐久本アカデミー道場があります)前にゴールドポスト(金色の郵便ポスト)が設置されました。

落成式に参列した劉衛流龍鳳会の喜友名諒選手・上村拓也選手・金城新選手

 沖縄空手会館では年間を通して大会・演武会行事、セミナー、道場施設での稽古は常に使用されています。博物館にあたる資料室内の企画展示室では現在、「沖縄空手、世界へ」が開催されています。今までに「上地流・剛柔流」、「剛柔流流祖 宮城長順」、「空手を伝え、広める!近代の空手教師たち」、「沖縄空手、大學波及。」のテーマで展示が行われました。又、空手シンポジウムの定期的な開催も行われて空手の学術的な取り組みも行われています。

 沖縄空手会館は、沖縄県にも多くある極真系のフルコンタクト空手道場も使用しており大会行事でも活用されています。空手以外の行事や地域のコミュニティ活動でも利用が拡がっています。新たな試みとして、身体を動かす試みとしてフィットネス体験会の開催やコロナ終息を願いオリジナルグッズの琉球紅型空手守りの制作や発売も行っています。

 もともとの構想として「沖縄文化村」建設があり、今年3月末には「おきなわ工芸の杜」が沖縄空手会館の真隣地でオープンします。沖縄伝統工芸である沖縄染織、紅型、三線、漆器、琉球ガラス、金細工、壺屋焼などを扱う施設です。お互いの施設での共有も今後出てくることでしょう。

 今後の大きな催しとしては、8月に第2回沖縄空手国際大会を予定しており、10月には世界のウチナーンチュ大会で沖縄空手大会も予定しており沖縄空手会館が会場として使用されます。現在、沖縄空手界はユネスコ無形文化遺産登録、沖縄空手大学の構想を打ち立てており、沖縄空手会館の役割も大きくなることでしょう。

沖縄空手会館
沖縄県豊見城市豊見城854-1
TEL 098-851-1025
http://karatekaikan.jp/

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藍原 しんや

投稿者記事一覧

1968年・東京都出身。空手歴は8歳から始めた遠山寛賢伝の沖縄正統空手統道会、厳誠流空手道厳誠塾。24年間にわたり空手の映像制作の仕事に携わる。現在は空手雑誌「新・空手道」を制作。空手古書道連盟主宰。空手と古書と沖縄をこよなく愛する。

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