【宜野湾市長選】松川氏、仲西氏の政策比較 7日間の選挙戦が告示

 

経済政策にIT活用や観光振興

多くのヨットが接岸する宜野湾市西海岸の宜野湾港マリーナ

 松川、仲西の両氏の政策比較では、経済振興策を1つ目に取り上げる。コロナ禍で市内事業者の経営が打撃を受け、円安や燃料費の高騰による物価高対策も課題となっており、両氏とも訴えに力を入れている。

 経済の立て直しを「喫緊の課題」に挙げる松川氏は「IT技術を活用した非対面型ビジネスの奨励」を掲げ、時勢に合わせた働き方の推進を掲げる。起業しやすい環境づくりや店舗リフォーム補助制度の拡充、空き店舗対策事業などで活性化を目指す。

 保守市政として中央政府との繋がりの強さを強調し、予算獲得により「市内企業の公共事業優先発注で経済発展を牽引していくことで、市民生活が向上し、子どもの貧困やヤングケアラーなどの課題解決ができる」と述べ、情報通信施設の建設や産業支援センターの設置などに取り組むとする。海浜公園内の屋外劇場を8,000人規模に改築することも挙げる。

 仲西氏は観光事業に関連した政策が手厚い。市の西海岸地区にある仮設避難港周辺について「西海岸地区の連続性を阻害している」として、海産物などの消費拠点施設、海釣り公園などを整備して「世界水準の都市型オーシャンフロント・リゾート地」の形成を掲げる。観光関連の施策を体系的にまとめた市観光基本計画の策定も政策の1つに挙げる。

 事業者や市民生活の再生に向けて「中小地場産業への支援、特に飲食業、小売業、観光関連産業への支援や消費喚起策を図る」とする他、スタートアップ支援、市発注工事や物品調達の市内小規模事業者優先発注などを挙げる。市産業支援センター(仮称)の早期設置も見込む。

普天間の返還手法で違い明確

宜野湾市の中央に位置する米軍普天間飛行場

 普天間飛行場については、松川、仲西の両候補とも宜野湾市の危険性除去に向けて1日も早い返還を訴えているが、手法の違いが明確だ。

 辺野古移設について「普天間の危険性除去に向けては容認せざるを得ない」とする松川氏は、佐喜真氏が訴える「2030年までの返還」について「辺野古で既に30%の埋め立てが終了しており、要望できる話」と同調する。辺野古移設反対を掲げる「オール沖縄」勢力に対しては「政府と対立して打開策がなく、返還が成し遂げられてない」と批判的な立場だ。

 一方の仲西氏は辺野古移設に反対し、普天間飛行場は「即時運用停止」を求める。2017年に市内の普天間第二小学校のグラウンドに米軍ヘリの窓枠が落下した事案などに触れ「事故があったにも関わらず、米軍の訓練は激しさを増すばかりだ」と基地被害に対する懸念を示し、玉城知事と足並みを揃えて「新たな基地を認めず、1日も早い閉鎖、返還を求める」と訴える。

 米軍基地由来と見られるPFOS(有機フッ素化合物)などの水汚染問題についても、両氏とも対策を掲げる。松川氏は「公園、せせらぎ等に除去装置を設置して市民の不安解消に努める」とし、仲西氏は「市民の健康影響調査を市が主導して実施する」としている。

医療、福祉教育で独自政策

 松川氏は現物給付により完全無料化している通院費、入院費の対象を中学校までから18歳に引き上げることや、小学校児童の給食費半額補助の継続を約束する。スケートボード場の建設、渋滞緩和政策の推進などのほか、コロナ禍による調整難で1期目に着手できなかった本島中部5市町村による火葬場建設にも強い意欲を見せている。

 「子どもを核としたまちづくり」を掲げる仲西氏は、市子ども未来応援推進基金(仮称)の設置や高校卒業までの医療費無料化の実現を公約する。総合福祉健康増進センター(仮称)の早期整備、大会自体がなくなった「ぎのわん車いすマラソン」の復活などのほか、ジェンダー平等・多様性を尊重する市の実現も重点政策に位置付けている。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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