「沖縄の芸人でありたい」まーちゃんが『お笑い米軍基地』に込める思い

 
本番を前に熱が入る稽古

沖縄で起こってることがコメディ

 米軍基地を主題にしていることから、同業者や周囲の人に「社会派だね」と言われることが多々あるというが、まーちゃんは「自分では全くそう思いませんね」と一蹴する。

「だって、僕がネタにしているのは単なる沖縄の日常です。それを少し大げさにしてるだけであって。そのネタを見て笑えるということは、沖縄で起こっていることが『コメディ』ということなんですよ。そう思いませんか?」

 コメディという表現には「人間が“より良く”生きていく上でとても大切な要素」としての笑いがあるとまーちゃんは強調する。その上で「お笑い米軍基地という表現の場で起こる笑いは“共感の笑い”なんです」と付言した上で、芸人としてこの舞台に臨んでいる時の感覚についてこう語った。

「沖縄の『あるあるネタ』を常に切り取り、集め続けて、それを披露しているので、ステージに立っていても『自分ではなくて沖縄が作り出したもの』と感じていて、実は毎回達成感とかはあまり感じないんですよ」

 また、米軍基地については「芸人としては基地がある限りネタには困らないから、ずっとあってほしい」と冗談を飛ばす一方で、「もちろんウチナーンチュとしてはこんな舞台が早くなくなればいいと思っている」というアンビバレントな感情も吐露した。

コロナ禍で表現する行為に「救われた」

 今回の公演は、実はもともと実施することは考えていなかったという。長引くコロナ禍で芸人としての活動がかなり制限される中、まーちゃんは「やめてもいい」とも考えていたという。そんな折、本土復帰50年の記念日に那覇市の旗頭と後輩芸人たちを集めて取り組んでいるエイサーとでコラボする機会があった。

「正直言って、これまで復帰記念日とか50年とかって、記号的な節目だとしか思ってなかったんです。でも、旗頭と一緒にエイサーをした時、コロナの中で鬱々とした気持ちを抱えていた自分たちが、演舞をすること、演舞をできたことで救われたんです。
 その時に『俺たちもこんな形で救われていいんだ』っていう気づきがありました。嬉しさや楽しさだけじゃなくて、苦しさや辛さ、モヤモヤも抱えながら踊って表現することで、やる側も救われていいんだと。その時に改めて舞台をやる意味を見出したし、自分がウチナーンチュであることも再確認しました。そんな思いも全部喜劇に落とし込んでいます」

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