経済効果はピーク時の3割程度 コロナ禍の影響続く、22年沖縄プロ野球キャンプ

 

産業別では宿泊業が最大

(りゅうぎん総合研究所提供)

 経済効果434,700万円のうち、観客らの宿泊費や飲食費、受け入れ市町村のインフラ整備といった直接支出額に県内産業全体の自給率を掛けた「直接効果」は273,500万円となった。

 関連産業に原材料やサービスなどを提供している産業への波及効果を示す「1次間接効果」は106,900万円。さらに直接効果と1次間接効果で生じた雇用者の所得増で生まれた消費支出の増加による「2次間接効果」は54,300万円となった。

 全体の経済効果を産業別で見ると、宿泊業が88,100万円で最も大きく、飲食サービスが53,900万円、建設業が38,300万円、商業が37,900万円、対事業所サービス(貸自動車業除く)が34,800万円、土産品や食品加工などの製造業が32,600万円と続いた。

「ウィズコロナ」におけるキャンプの在り方を

 県内の各市町村や球団協力会は、球団の要望に対して充実度の高い練習環境の提供に努めてきたが、調査では「老朽化に伴う施設の修繕や施設機能の強化など、ハード面のさらなるレベル向上を望む声も聞かれた」という。

 さらに「駐車場及び交通情報の不足など交通面での課題も挙げられた。シャトルバスの整備や公共交通機関の積極的活用の呼び掛けなど、交通面の課題解決においては県を挙げての取り組みが必要となろう」と提言。コロナ禍によって、選手と観客の距離が近いというキャンプの魅力が減少してしまったことを念頭に「ウィズコロナにおける新たなキャンプの在り方を模索していく必要がある」とした。

 2023年にはFIBAバスケットボールワールドカップが沖縄アリーナで開催されることなどにも触れ、「スポーツ観戦を目的とした来県は、沖縄観光における新たな客層の獲得及びリピーター創出へとつながり、コロナ禍で疲弊している県経済の回復、観光需要の平準化に資する重要な役割を担うと考えられる」と分析。その上で「ウィズコロナ・アフターコロナを見据え、県内スポーツ産業の持続可能な運営と今後のさらなる発展が期待される」と展望した。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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